2003 Fiscal Year Annual Research Report
メキシコ・ユカタン半島沿岸海洋汚染における沿岸地域の社会的側面からの研究
Project/Area Number |
14710156
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大江 瑞絵 関西学院大学, 総合政策学部, 講師 (50330395)
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Keywords | 環境 / リスク認知 / リスク・コミュニケーション / 地域型環境管理 / メキシコ / 海洋汚染問題 / 廃棄物問題 / NGO |
Research Abstract |
平成15年度は、8月に、調査対象地であるメキシコ・ユカタン半島に位置するホルボッシュ島と、本研究に関して協力をいただいているメキシコ国立研究所を訪れた。その際、平成14年度から収集してきた現地の情報と現地研究者らによる文献研究や現地調査の結果をもとに、ホルボッシュ島ホルボッシュ村の住民を対象とした、開発と自然環境破壊問題、海洋汚染と一般廃棄物処理問題に関する地域住民の意識調査を行った。住民の主な関心は、教育や医療などの福祉サービスであり、観光化や人口増加、経済発展による環境破壊・環境汚染に対する住民の関心は、比較的高いが、住民の間でも問題意識に差があることがわかった。この島では、土地所有制度の中での利害関係が強く、エヒドと呼ばれる共有地所有・管埋組合のメンバーを始めとする開発志向派と環境NGOとの間には、経済的利害関係と社会的意思決定権の偏性などが背景にあり、住民の環境保護に対する意識に影響を与えている。さらに、島への移入時期や民族、移入理由によるグループ間の分化もみられ、それらグループ間の関係にも意思決定過程への参加の仕方に違いがみられる。このような事情もあり、環境保護事業は速やかには進んでいないが、現在、特に問題とされている一般生活廃棄物については、現地の大学生が各戸を回って公衆衛生の基本的知識とゴミの分別をわかりやすく説明するという環境教育プログラムが計画されている。 平成16年度は、引き続き、現地調査による情報収集とその分析および、現地調査とアンケート調査の結果を参考に、シミュレーションなどの数理モデルによって、集団内におけるグループ間の意思決定過程を一般化する。
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