2003 Fiscal Year Annual Research Report
多文化教育理論と実践モデルの構築に関する研究―日豪比較を手がかりとして―
Project/Area Number |
14710177
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
見世 千賀子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (80282309)
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Keywords | オーストラリアの学校教育 / 多文化教育 / 市民性教育 / 日本の多文化共生教育 / 外国人児童生徒教育 / 帰国児童生徒教育 |
Research Abstract |
本研究は、初等・中等教育段階に焦点を当て、オーストラリアにおける多文化教育研究および実践を手がかりとして、日本における多文化教育の理論と実践モデルを構築しようとするものである。研究の2年目にあたる本年度は、主に次の3つの作業を行った。第1に、昨年度収集したオーストラリアにおける多文化教育に関する文献・資料の分析を行った。そこからは、まず、オーストラリアにおける多文化教育に関する取り組みおよび研究がこれまでに比べて下火になっている状況が明らかになった。特に、国家としては、文化の多様性を尊重する取り組みよりもむしろ、オーストラリア市民として共通な市民性を育成する教育や、英語を中心とするリテラシーの教育に力点を置くようになっている。ただし、多様な文化の視点から学校教育全体を捉えなおす試みは、カリキュラム開発を中心に進められている。それらの研究成果の一部については平成15年度の日本比較教育学会大会において報告を行った。それらの作業を通して、多文化教育を構想する上での克服すべき問題や課題について明らかにすることに努めた。第2の作業では、日本の学校において多文化教育あるいは多文化共生教育として行われている外国人児童生徒教育、帰国児童生徒教育、国際理解教育などに関わる実践報告書を収集し、分析作業を行ってきた。また、日本の学校における外国人児童生徒教育の実践を新規購入したビデオカメラにより撮影し、分析を行った。それらを通して、日本の学校において、多文化教育を展開する際の固有の課題の特定に努めた。第3に、3月末に、オーストラリア・メルボルンを訪問し、新たな文献・資料の収集を行った。
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