2002 Fiscal Year Annual Research Report
日・米・独における「21世紀型市民性開発カリキュラム」の授業実践に関する比較研究
Project/Area Number |
14710190
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
久野 弘幸 愛知教育大学, 教育学部, 助手 (30325302)
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Keywords | 国際研究者交流 / ドイツ / アメリカ / 市民形成 / カリキュラム / 政治教育 / 生活科教育 / 社会科教育 |
Research Abstract |
平成14年度の研究においては、次の成果が得られた。 (1)理論的研究:1990年代後半以降の国際学力比較調査の受け止められ方に、日本とドイツの間に著しい差異があることが明らかになった。日本においては、小中学生の学力は「おおむね満足できる」と受け止められる一方で子どもの学びに対する興味が乏しく、自己と学習内容との関係の構築に成功していない。ドイツでは、学力水準の著しい低下が「PISA-Schock(ピサ・ショック)」と受け止められ、学力の底上げが課題とされている。この認識の相違が、両国における「市民性開発カリキュラム」に影響を及ぼしているものと考えられる。 (2)日本における実践研究:甲山中学校(愛知県)における環境政策に関わる授業を対象に授業の記録を作成し、一人一人の学力形成と興味・関心の醸成をめざしたカリキュラム開発の方略を考察した。その成果については、2003年3月6〜8日にドイツ・ブラウンシュヴァイク市で行われた第9回ドイツ政治教育学会全国大会(9.Bundeskongress fur politische Bildung)において、「日本における学校改革とその授業への応用-「環境政策の日独比較」(中学2年)の実践事例から-」で発表した。小学校低学年においては、翼小学校(愛知県)における地域探検単元の授業を観察し、記録の収集を図った。 (3)海外における調査研究:今年度の海外における調査研究は、2002年9月に次の学校を訪問し、授業の記録収集と実践者へのインタビューを行った。ア)Max-Brauer-Gesamtschule(ハンブルク)、イ)Peter-Hubel-Grundschule(フライブルク)、ウ)Johannes-Schwarts-Grundschule(フライブルク)。調査によって得られた授業記録の整備・翻訳を進め、今後の比較検討作業の準備をしている。
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