2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710243
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Research Institution | History Museum of Hokkaido |
Principal Investigator |
山田 伸一 北海道開拓記念館, 学芸部, 研究員 (30291909)
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Keywords | アイヌ民族 / 開拓使 / 狩猟 / 勧業政策 / 資源保護 / 有害鳥獣 / 県庁文書 / 環境歴史学 |
Research Abstract |
(1)北海道立文書館所蔵の開拓使・三県の公文書と統計類をもとに、当該期のシカ猟・銃猟免許取得者に関する数値を整理し、その人数と民族別の構成(和人かアイヌ民族か)を概観した。開拓使期における札幌本庁管内(のちの札幌県)については、シカ猟免許取得者のうちかなり多くの割合をアイヌ民族が占める一方、函館支庁管内については和人のシカ猟免許取得者の割合が多い傾向があった。開拓使・三県期における各郡・村ごとの物産表から狩猟関係の数値を整理した。なかでも比較的史料の残存状況がよかった十勝地方については、記載がある全物産を対象に整理して年次・地域ごとの傾向を考察した。この地域のおける地域外への移出物としてはシカ皮・角とアツシとが大きな比重を占めていたことを確認し、さらに地域外への流通の媒介者に関する史料を収集した。 (2)北海道との比較事例を得るため、群馬県立文書館・埼玉県立文書館・長野県立歴史館において、明治初期を中心とする県庁文書を調査し、野生生物に対する諸施策に関する史料を収集した。シカを狩猟の対象とし、皮などの利用をしている点には共通性が見られるが、シカの利用が勧業政策のなかで重視され、資源管理を意図した法規が設けられた点は、北海道に特有のものとの早通しを現段階では得ている。 (3)シカ猟規制およびそれと並行して進められたサケ漁規制の代替策として、開拓使が千歳地方で勧農政策の具体化を計画し、それが実現せずに終わった過程を明らかにし、その意味を考察した(『北海道開拓記念館研究紀要』第32号に掲載)。
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Research Products
(1 results)