2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710248
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
城山 智子 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60281763)
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Keywords | 大恐慌 / 銀本位 / 中国 |
Research Abstract |
平成14年度の、国際通貨システムと中国国内金融市場との連鎖に関する分析を踏まえて、平成15年度は経済政策過程の検討に入った。1990年代には、「中華民国档案彙編』(1994年)『中国銀行行史資料』(1990年)、『中華民国貨幣史資料』(1991年)を始めとして、財政部や政策立案機関である行政院全国経済委員会、及び中国・中央・交通の政府系三銀行の重要な文書が多数出版・公開された。これらの新資料をもとに、通貨・金融政策の立案施行過程に分析を加えた結果、(1)従来の研究では、中華民国政府は、1930年代初頭の大恐慌の下での混乱を利用して、金融・産業への統制を強めたとされたが、実際は、政府の経済への介入への要請が財界・学界から強く出されていたこと、(2)1935年の幣制改革を通じて、銀本位制から外国為替本位制へ移行するについては、通貨政策の健全性を内外に示すために、対米ドル・対ポンドの為替レートの維持が、最重要課題と政府内部で認識されていたこと、(3)為替レートを維持するために、改革前に懸念されたような、財源確保目的での過剰な通貨の発行は控えられたこと、が明らかになった。先行研究では注目されてこなかった、国際通貨システムとの関係が、国内の経済政策形成に及ぼす影響を指摘することができる。こうした本年度の研究成果は、アジア研究協会(Association for Asian Studies)の年次総会(2004年3月4日〜3月7日、於サンディエゴ市、アメリカ合衆国)で、論文"China's Relation with the International Monetary System in the 20^<th> Century : Historical Analysis and Contemporary Implication"として発表した。
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