2002 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀前半における清朝、ロシア、オイラト=モンゴル相互関係史の研究
Project/Area Number |
14710249
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
澁谷 浩一 茨城大学, 人文学部, 助教授 (60261731)
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Keywords | キャフタ条約 / ロシア / 清朝 / 満洲 |
Research Abstract |
今年度は主として清朝とロシアの間で結ばれたキャフタ条約の締結過程について、1768年のキャフタ条約追加条約までを視野に入れる形で研究を進めた。研究成果は、まず、7月23日第39回日本アルタイ学会(野尻湖クリルタイ)において、「キャフタ条約締結過程の研究〜清側ロシア文条約と国境貿易条項」と題して発表を行った。この発表では、同条約の締結過程について、ロシア側未公刊史料によって詳細に明らかにし、とりわけ第4条の国境貿易に関する条約文はラテン文、ロシア文、満洲文によって異同があること、その背景にある両者の条約続結にのぞむ姿勢について考察を加えた。これをもとに来年度前半に活字論文を発表する予定である。続いて、11月23日東京外大アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究プロジェクト「東アジアの社会変容と国際環境」:研究セミナー「ロシア帝国と東アジア-外交関係と文書史料-」において、「キャフタ条約締結直後の露清関係-清側によるロシア側書簡受領拒否事件とキャフタ条約第6条」と題する発表を行った。この発表では、条約締結直後に起こったロシア側文書の清側による受領拒否事件について、その背景としての当時の政治情勢を分析するとともに、事件発生の根本原因にはキャフタ条約の複雑な締結過程があり、第6条がロシア文・ラテン文条約と満洲文条約において異なっていることが大きな要因となっていたこと明らかにした。これを元にした論文も来年度早々に活字としてまとめる予定である。また、次年度の研究計画を視野に入れた史料調査として、8月18日から9月8日まで、中国第一歴史档案館において清側史料の調査収集を行った。この調査では、これまで完全な形では知られていなかったキャフタ条約の清朝側満洲文条約文の全文を新たに発見する一方、満洲文関係史料の収集を行った。
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