2002 Fiscal Year Annual Research Report
抗日根拠地における"階級対立"と共産党支配確立の再検討:山東省〓南県大店鎮
Project/Area Number |
14710253
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
荒武 達朗 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (60314829)
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Keywords | 中国共産党 / 土地改革 / 地主政策 |
Research Abstract |
本年度は対象地域である山東省〓南県大店鎮近辺に関する文献調査を中心に行った。(1)山東省南部東部の清-民国期の地方志(嘉慶年間『〓州志』、民国年間『〓志』など)を東洋文庫等の機関で閲覧・複写をした。(2)山東省青島市、済南市等の図書館で文献の収集を行った。(3)旧日本軍作成の10万分の1地形図[北支那・沂州編]を購入し、そこに日本軍、国民党、共産党の活動をそれぞれ時系列を追ってプロットした。これらの作業から大店鎮を拠点とする大地主、荘氏一族の成長と、共産党に打倒される過程をトレースした。内容は以下の通り。 荘氏が地域の大地主へと成長するのは1850年代の捻匪の反乱が地域に波及した事件を契機とする。この反乱時に地域社会の在来のあり方は大混乱に陥った。結果、大地主が没落し中小地主層から新興勢力(荘氏もその一つ)が出現がした。彼らは19世紀末から20世紀初頭にかけて大地主へと成長した。この大地主は単なる大土地所有を実現しただけではなく、地域社会において名望・声望を有していた。政治的・経済的に圧迫する一方で人々の尊敬の念を集め、その地域社会での"君臨"が納得して受け入れられていた。これが地域社会の一種の"秩序"であると考えられる。抗日戦争時期にこの地域で共産党軍は日本軍と国民党軍と対抗した。大多数を占める農民層の取り込みを目的とする以上、荘氏などが取り持つ地域社会の秩序と対決せざるを得なかった。その手段の一つが44年以降顕著な地主層への攻撃、土地改革の施行である。同時に共産党はその行為の正当化のために、地主による強烈な政治的・経済的支配という側面を強調することとなる。 以上の内容については、2003年度夏季の明清史夏合宿で発表する予定である事を付言しておく。
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