2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗日根拠地における“階級対立"と共産党支配確立の再検討:山東省〓南県大店鎮
Project/Area Number |
14710253
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
荒武 達朗 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (60314829)
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Keywords | 中国共産党 / 地主 / 土地改革 / 山東省 / 根拠地 / 地域社会 |
Research Abstract |
中国共産党による革命の正当化の根拠として、同党が実施した土地政策が挙げられる。地主に極端に集中する土地を一般農民に分配し、村落における封建的支配関係を消滅させた。地主による村落に対する経済的・政治的支配は、共産党のテーゼによれば中国社会の遅れであるとされている。本研究は、この強固な地主-農民関係の起源について検討した。山東省南部の事例では、社会の遅れの為に地主が農民を支配するのではなく、19世紀後半の社会の変動(捻匪の反乱)によって地域社会が大きな打撃を被り、不安定な情勢を乗り切る為に地主をリーダーとして農民が結集したからであるとした。即ち、上述の関係は「近代」の特殊な歴史的過程の産物によるものであると考えられる。この関係は、抗日戦争期に当地に勢力を拡大していこうとする中国共産党にとって不都合な存在であった。抗戦の為に住民を動員するに際しても、人々は共産党という外来者よりも従来の地主というリーダーの指導下にあることを望んだ。そこで共産党は当初は地主と妥協的な関係を結んでその政権への参画を促した。43年後半に軍事的情勢が好転したのをきっかけに、共産党の地域での単独優勢が確立された。そこで、地域内の地主の経済的基盤を破壊する為に査減運動が展開された。続いて、政権内部に取り込まれた比較的共産党よりの地主たちに対しても整風運動という形式で、攻撃が加えられた。これらの運動を通じて、地主は村落における政治的・経済的支配力を喪失した。ここに共産党の地域支配が完成したと言える。
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