2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710270
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶原 義実 京都大学, 文学研究科, 助手 (80335182)
|
Keywords | 国分寺 / 瓦 / 造瓦組織 / 律令制 / 手工業生産 |
Research Abstract |
本年度は当初の計画通り、各国国分寺とその周辺遺跡出土瓦の実見・データ収集および、収集データから読みとれる成果の発表を行った。 成果発表としては、研究費受領前から継続して調査を行っていた東海地方の国分寺についての研究を「造瓦組織の復原と瓦当文-東海地方の国分寺から-」(『史林』86-3,2003)として発表した。国分寺造営にあたって、中央から地方に対してあらゆる援助が行われ、それは瓦にも表れているという従来の一律的な解釈について、遺物の詳細な検討から再考するべきという、前稿「国分寺造営期の瓦供給体制-西海道諸国の例から-」(『考古学雑誌』86-1,2000)でも述べてきた議論が、地域を変えても成立することを示すと同時に、そこから一歩進んで、軒丸瓦と軒平瓦で文様系譜が異なる国分寺の存在などから、瓦研究で従来重要視されてきた瓦当文の意味についても再検討が必要であるとした。さらに「最古の官営山寺・崇福寺-その造営と維持-」(『佛教藝術』265,2002)では、一つの有力寺院をとりあげ、瓦工房ばかりでなく、鍛冶や銅器生産など、寺院関連の諸生産組織全般のあり方について、それが経済効率に基づき多様であると考察した。 データ収集については、全国各地の出土瓦を見て回ったが、特に本年度は、中国地方および北陸地方に重点を置いて資料収集を行い。いくつかの重要な知見を得るに至った。それらを発表していくことが、来年度の主要な研究活動となろう。
|