2002 Fiscal Year Annual Research Report
古墳出現前後における土器の比較検討を通じた日本と朝鮮半島の相互交流
Project/Area Number |
14710281
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Research Institution | Osaka City Cultural Properties Association |
Principal Investigator |
寺井 誠 財団法人大阪市文化財協会, 調査研究部, 学芸員 (60344371)
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Keywords | 朝鮮半島系土器 / 全羅道 / 忠清道 / 格子タタキ / 日本在来の土器 |
Research Abstract |
本年度は6回(計19日間)の国内資料調査と2回(計13日間)の韓国での資料調査を行うとともに、韓国の三韓〜三国時代の遺跡のカード化を進めた。資料調査で重点を置いたのは、日本国内で出土した古墳出現前後の朝鮮半島系土器についての検討で、次の2点の新たな知見を得ることができた。 まず1点目は、日本出土の朝鮮半島系土器は全羅道や忠清道など朝鮮半島南西部に系譜が求められるものが多く、日本から距離的に近い慶尚道(朝鮮半島南東部)のものが少ないことが明らかになった。古墳時代中期においても日本と朝鮮半島との交流には、半島南西部の影響が色濃く見えるため、古墳出現前後に半島南西部の土器が多いということはその先駆けと言えるであろう。 2点目は、朝鮮半島の土器の特徴の一部を取り入れた日本在来の土器について検討を加え、その中で格子タタキが施された日本在来の器形をもつ土器について興味深い傾向を把握できたことである。このような土器は、西は壱岐島から東は金沢市までの8遺跡11点が出土しており、広く浅く分布していたことが分かる。特徴的なのは、通常タタキメを残さないような器種でも、格子タタキが施されたものはタタキメを消さずに残しているものが多いということであった。例えば、布留式甕や北部九州在来の壺は通常ハケメ調整でタタキメを残さないが、格子タタキが施されているものは胴部全面に残っていた。タタキメを残すのはある意味朝鮮半島の特徴であり、単にタタキ板を平行タタキのものから格子タタキに置き換えたというだけではなく、製作工程も朝鮮半島のものを採用している可能性がある。 以上の新たな知見については、来年度(平成15年度)に韓国で資料調査を重点的に行い、当地の土器を日本出土のものと比較しながら検討することによって、さらに深めていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)