2002 Fiscal Year Annual Research Report
顕昭著作を中心とした院政期歌論書・歌合判詞のデータベース化
Project/Area Number |
14710314
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
山ざき 真克 松江工業高等専門学校, 一般人文科学科, 講師 (10342544)
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Keywords | 顕昭 / 六条家 / 歌論 / 歌合 / 判詞 / 院政期 / データベース / 顕注密勘 |
Research Abstract |
本研究は、歌論書・歌合判詞の表現を帰納的に分析し、著者の意図するところを解明するために、最良の本文を基礎データに据え、幅広い利用に堪えうる歌論書・歌合判詞のデータベースを構築することを目的としている。なかでも、現在研究の対象としている六条家顕昭の著作を中心に取り上げ、顕昭の残した多くの歌論書・歌合判詞に含まれる表現の自在な検索を可能にするために、著作中の文字情報に意味づけを行いながらデータベース化することを目指す。 今年度の作業は、基礎データ作成と、伝本調査が中心である。現時点で基礎データの作成が既に完了している作品は、歌論書・歌合判詞では『六百番陳状』『或所廿二番歌合』『若宮社歌合』『千五百番歌合』(顕昭判のみ)、注釈書では『古今集注』『拾遺抄注』『後拾遺抄注』『詞花集注』『散木集注』『五代勅撰』である。現在は『顕注密勘』の基礎データを作成中である。活字本を利用して、スキャナー及びOCRソフトにより本文を取り込み、校正を施して基礎データとしている。今後、『袖中抄』のデータ作成を行えば、予定していた範囲の基礎データ作成が終わる。また、伝本調査の一環として、国文学研究資料館蔵マイクロフィルム資料の紙焼写真32点を取り寄せた。これ以外の伝本については、調査先にてデジタルカメラによる撮影を行うなどして収集作業を継続する。 さらに、相愛大学の鈴木徳男先生のもとで開かれる「俊頼髄脳研究会」に参加し、諸伝本の校合を行いながら歌論書の本文を規定していく過程を学んだ。この研究会には歌論・歌合判詞の研究に携わる研究者が複数参加しているので、データベース化に関する意見交換を行うこともできた。 来年度は、諸伝本の校合結果を反映させながら、基礎データの情報に意味づけを行っていく。
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