2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710316
|
Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
浅井 邦昭 金城学院大学, 文学部, 講師 (40313978)
|
Keywords | 清代思想 / 八股文 / 呂留良 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に引き続き八股文選集の蒐集及び調査をおこない、清朝初期の思想界における八股文の重要性について指摘した。八股文選集については、『可儀堂一百二十名家制義』や『制義叢話』を調査し、八股文の流行に注目した。特に清朝初期に八股文がどのように変化しているかを検証し、康熙年間の朱子学振興策が、八股文にどのような影響を与えているか考察した。 思想界に関する研究としては、清朝八股文に関わる人物研究として「八股文選家としての呂留良」を発表した。これは八股文を思想的側面からアプローチしたものである。八股文の作品については、これまでは断片的な言及しかされてこなかった。呂留良は朱子学に傾倒したが、先行研究ではこの特徴を経学上の問題として扱ってきている。そこで本論文では、呂留良の批評を八股文とともに分析し、批評活動のありかたを考察した。作品とあわせて批評を分析することによって、彼の主張は作品の具体的な評価から出発していることがわかる。この点から、八股文が当時の思想表現の重要な手段であったことがうかがえるのである。また清朝初期の諸資料を調査して、呂留良思想の受容においても、八股文が大きな役割を果たしていることもあわせて指摘した。陸隴其や曾静らは、彼から思想的影響を受けた人物であるが、彼らが思想を受容する際、八股文選集から呂留良の言説を採取にしていたことが見受けられる。この論文によって、当時の思想界では、表現と受容の両面で八股文選集が重要な媒体であったことを論証したのである。
|
Research Products
(1 results)