2002 Fiscal Year Annual Research Report
清代における歴史物語の変遷と受容〜薛家将故事を中心に
Project/Area Number |
14710321
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千田 大介 慶應義塾大学, 経済学部, 専任講師 (70298107)
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Keywords | 説唐 / 薛家将 / 山西 / 大唐秦王詞話 / 〓子腔 / 皮影戯 / 講史小説 / 英雄傳奇 |
Research Abstract |
本年度は、研究基盤を確立することを目的に、以下の研究活動を行った。 まず、今後の研究を効率的に進めるために、研究対象である古典小説のテキストのデジタル化作業を進めた。デジタル化の対象としては、現在までに電子テキストが構築されていない、薛家将故事の萌芽が見られる明末の『大唐秦王詞話』、および清初の小説『混唐後伝』を選定し、入力は北京書同文数字化技術有限公司に委託した。 入力されたテキストに対して、XML文書への加工作業を進め、同時に詞話・古典小説などのスタイルを表現するのにふさわしいマークアップ方法についての検討を進めるのと同時に、それらのテキストの内容に対する検討も行った。その結果、『大唐秦王詞話』に関しては、その成立地域を確定するいくつかの証拠を見いだし、また、『混唐後伝』に関しては、明代成立説の是非について一定の知見を得るに至った。その成果については、2003年度に論文として公表する予定である。 八月には中国山西省を訪問し、現地調査活動を行った。太原では山西省戯劇研究所を訪問し、同研究所が収蔵する山西各地の地方劇台本、特に〓子腔系地方劇台本の薛家将関連故事の台本を閲覧して、その物語内容について調査した。また、孝義市を訪問し、当地の皮影戯劇団における歴史物語上演の状況について、老芸人へのインタビューを行った。 また、各地の戯劇文物に関しては、2002年に公刊された『20世紀戯曲文物的〓現与曲学研究』などの重要な研究成果・資料集を入手し、検討を開始した。その結果に基づき、2003年度夏期に補足的な現地調査活動を行う予定である。
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