2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710324
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉原 ゆかり 筑波大学, 文芸・言語学系, 講師 (70249621)
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Keywords | 蒐集 / イギリス / 文化 / 16世紀 / 17世紀 / 芸術 / 文学 / 科学 |
Research Abstract |
本年度は主に、17世紀イングランドのコレクターたちの業績と彼(女)たちが生きた激動の時代について、基礎的な調査と資料収集にあたった。特に注目したのは、当時のイングランド最大の芸術愛好者であるアランデル伯爵、ジェイムズ一世時代とチャールズ二世時代の宮延文化の中心人物初代バッキンガム公爵、チャールズ一世治世からジェイムズ二世の治世にいたる時代を生きた日記作家ジョン・イーヴリン、イングランド初の公開博物館を設立したトラデスキャント親子、アシュモリアン博物館の設立者アシュモールなどの人物像である。これらの人物とその周辺に関する基礎的な一次資料と研究資料の収集・整理にあたるなか、16・17世紀の文化蒐集という本研究のテーマが、当時のイングランド国内の文化の政治学のみならず、ヨーロッパ諸国の国家間の威信争いや宗教対立と深く関係し、植民地支配やイスラム圏・アジア圏を含めた他文化地域との文化交流と深く結びついていたこと、またたとえばイーヴリンが英国科学協会の創立メンバーのひとりであったというように、ボイルやニュートンに代表される近代科学と強いつながりがあったことがますます明らかになった。他文化圏との文化交流のなかから生まれた16・17世紀のイングランドの文化蒐集には、イングランドとネーデルラントの東インド会社の国際的な活動が複雑に関係していたことが重要であるので、夏季にロンドンとアムステルダムで東インド会社の活動に関する基礎的な資料収集にあたった。当該テーマに関心をもつ研究者との連絡網を形成し、二回の研究会合をもった。そのなかで、ジョン・ウィンスロップ・ジュニアなどの、植民地アメリカのコレクターとイングランドのコレクターたちとの相互交流もまた、本研究と重大な関係を持つ研究課題であることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)