2002 Fiscal Year Annual Research Report
日英語の数量詞と関係節の相関に基づく両者の統語的・意味的機能の研究
Project/Area Number |
14710349
|
Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
田中 秀毅 広島女学院大学, 文学部, 講師 (50341186)
|
Keywords | 関係詞節 / 数量詞 / 部分構造 / 類別詞 |
Research Abstract |
本年度取り組んだ課題は、(1)部分構造の分類の再検討と(2)数量詞と関係詞節が共起する場合に課せられる意味条件とその由来、の2点である。(1)については、Quirk et al.(1985)の記述的分析とJackendoff(1977)の理論的分析を比較検討した。前者はA of B形式のA(第一名詞)の意味特徴に基づき質・量・計量の3分類を、後者はB(第二名詞)の限定性に基づき真部分構造・疑似部分構造の2分類を提案する。第一名詞の意味特徴と第二名詞の限定性の相関を調査した結果、部分構造に次の3つの型を認めるに至った。(1)限定詞付きの第二名詞をとれない部分構造(e.g., two kinds of (^*her) computers, a pack of (^*these) cigarettes)。(2)限定詞付きの第二名詞しかとれない部分構造(e.g., two copies of ^*(the) books, a page of ^*(a) book)。(3)限定詞付き・限定詞なしの第二名詞いずれもとれる部分構造(e.g., one kilo of (her) apples, a liter of (our) wine)。以上の特性をふまえると、真部分構造は(2)と(3)の一部ということになる。 (2)については、Quirk et al.のデータをインフォーマントチェックした結果、個人によって容認性の揺れがみられ、因果関係だけが容認性の低下を引き起こすと断定するには至らなかった。今後、言語コーパスを用いてできるだけ関連データを集めて慎重に判断する必要性がある。非制限節はしばしば副詞節による言い換えが可能であるが、この点で分詞構文と似た性質をもつ。しかし、非制限節と分詞構文が意味的に近い内容を表しているにもかかわらず、前者のみが数量詞の共起を阻むことが分かった(^*All the students, who had failed the test, wanted to try again. vs. Having failed the test, all the students wanted to try again.)。これは主節と従属節の意味関係が等しくても、その意味解釈を導く過程が異なり、結果として数量詞の解釈に支障をきたす場合があることを示唆していると考えられる。
|