2004 Fiscal Year Annual Research Report
スターリン時代のソヴィエト小説における無意識をめぐる言説に関する研究
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14710365
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Research Institution | Wakkanai Hokusei Gakuen College |
Principal Investigator |
岩本 和久 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 助教授 (40289715)
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Keywords | ソヴィエト / 文学 / 精神分析 / スターリニズム / ゾーシチェンコ / 日の出前 |
Research Abstract |
2002年度は作家オレーシャの創作に見られる精神分析の影響について研究を行い,1920年代から1930年代にかけてのソヴィエト文学に見られる精神分析の影響について考察した。2003年度はソヴィエトにおける精神分析の受容について概括的な調査を行った。2004年度はそれらの研究を踏まえた上で,1930年代から1940年代にかけてのソヴィエト文学における精神分析の影響について,特に作家ゾーシチェンコの創作を中心に研究した。 研究の基礎的な作業として,ゾーシチェンコに関する基本文献を北海道大学,及び札幌大学において閲覧した。また,スターリニズムや当時の文学に関する最新の研究について,特に欧米で公刊されたものを中心に収集した。 その上で,ゾーシチェンコの小説『取り戻された青春』及び『日の出前』について,そこに見られる精神分析への関心を中心に研究した。その際,この主題に関する先行研究を北海道大学において収集した。また,これらの小説が発表された当時の批評や関連する文献,及びゾーシチェンコの伝記資料の閲覧を,北海道大学やロシア国立図書館(ペテルブルグ)において行った。それらの作業を通して,ゾーシチェンコの小説の主題やスタイルに精神分析が及ぼした影響,その時代性(特に理性への志向),精神分析への関心と政治との関係,などを明らかにした。 それらについて論文「ゾーシチェンコと精神分析」を執筆し,『ロシア・東欧研究』33号に投稿した(2005年秋刊行予定。掲載については現在,審査中)。 また,関連する研究として,現代ロシア文学と精神分析との関係についても調査を行い,その1部を論文「現実と幻想と空虚-ペレーヴィンをめぐる試論」として発表した。
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Research Products
(1 results)