2004 Fiscal Year Annual Research Report
統語処理の偏向における個人差を生み出す諸要因についての検討
Project/Area Number |
14710369
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
広瀬 友紀 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50322095)
|
Keywords | Human setence sprocessing |
Research Abstract |
本研究では、異なる構文における、処理偏向の個人差パターンを調査し、これらを統一的に説明できるような文処理モデルについて検討することを目的としていた。 1.まず、平成16年度においては、attachment ambiguityを含む英語文を用いて、日英バイリンガル話者を対象に実験を行い、これまでに得られているモノリンガル話者の結果と比較することが目的であった。このため、眼球運動測定装置を用い、異なる英語運用能力の日本人学生群に対し、聴覚による呈示+視覚を用いた課題遂行を組み合わせた実験を行い、統語的曖昧性が発生した場合の処理偏向について、話者グループ間の相違に着目した。この結果、英語の高運用能力群において、英語母語話者と同様の処理ストラテジーによる処理の滞りが観察され、さらに曖昧性への対処において視覚情報が有効に利用されていることがわかった。一方、低運用能力群では、処理の滞り自体が観察されず、曖昧性への対処のありかた(曖昧性の認知、処理ストラテジー)そのものが母語話者とは異なったものであることが示唆された。研究成果は現在国際学会に投稿中である。 2.さらに、日本語での統語的曖昧性(右枝分かれ構造・左枝分かれ構造)への韻律情報および視覚的情報の相互役割とその個人差を検証するために、画面での指示を用いた発話実験とその聴取実験を行った。この結果、枝分かれ構造とそれにたいおうする韻律情報のマッチングにはそもそも個人差があり、韻律によるdisambiguationを促すと期待される視覚的情報の効果も必ずしも高くなく、個人差に依存する可能性が示唆された。この研究結果は、平成16年3月に行われる2件の国際学会(Tokyo Conference on Psycholinguistics 2005,CUNY conference on Human Sentence Processing 2005)で発表予定である。
|
Research Products
(1 results)