2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710376
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高橋 美奈子 琉球大学, 教育学部, 講師 (60336352)
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Keywords | 人称表現 / 沖縄県 / 学校場面 / 自称詞 / 対称詞 / 方言呼称 |
Research Abstract |
研究課題の遂行へ向けて、平成14年度は沖縄県全域の学校場面に絞った多人数調査を実施する前に、まず、人称表現使い分けの実態を探るべく質的調査を行った。特に、先行文献による学校場面での人称表現研究では、日本語学習者による人称表現の使い分けの実態調査は皆無である。そこで、沖縄県で生活する日本語学習者と同世代の日本語母語話者を対象に、両グループ間の人称表現の使い分けにどのような変異の相違があるのかを、アンケート調査と手紙による自然会話分析により実態調査を実施した。その結果、下記のような結果が明らかとなった。 1.日本語学習者は、自称詞・対称詞のどちらにおいても、社会的変項(性や地域)や言語的変項(話し言葉や書き言葉)による使用制限がある人称表現よりは、どの場面でも使用可能な使用範囲が広い人称表現を好んだ。 2.日本語学習者による沖縄県内の方言呼称の使い分け調査では、自称詞として用いる「自分」はその他の方言呼称に比べ、使用頻度が高かった。 3.日本語学習者による自称詞の変異の数は日本語母語学生より少なかった。 4.日本語学習者は、アンケート調査と自然会話分析による調査結果が異なり、アンケートでの認識結果ほど実際の使用結果において自称詞の使い分けに変異は現れなかった。 5,対称詞においては、日本語母語学生は日本語学習者より「フルネーム+さん」や「あなた」を多用していた。 6.日本語学習者と日本語母語学生による対称詞のシフトの仕方が、待遇レベルにおいて顕著に異なった。 上記の調査以外に、沖縄県出身大学生を対象にした予備研究より、被験者が使用する人称表現には従来の沖縄各地の方言呼称も見られることが明らかになっている。沖縄県全域の学校場面を対象にした多人数調査に向けて、各地域における方言呼称を明らかにし、それらを含んだアンケートを作成したが、それについてはいずれ報告書で詳しく報告したい。
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Research Products
(1 results)