2003 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における民事裁判の実像-「熟議解訟」からの脱却と判決の成立-
Project/Area Number |
14720005
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
林 真貴子 近畿大学, 法学部, 専任講師 (70294006)
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Keywords | 民事判決原本 / 民事訴訟法史 / 和解 / 調停 / 裁判の歴史 / 金銭債務関係訴訟 / 預ヶ金 / 身代限 |
Research Abstract |
平成15年度は、補助金交付予定期間(3年間)の2年目にあたり、計画通り、判決原本のデータ入力作業に従事した。 入力を終了した判決は、国際日本文化研究センターのデータベースより193件の判決の判決である。この他25件の判決については、くずし文字の判読に手間取っており、現在は入力作業継続中の状態にある。合計すると、約228件強の判決原本をデータとして入力することができた。入力した判決の内容は、金銭関係の判決のうち、とくに「地所質入書入」に関する判決と破産に相当する「身代限」事件に関する判決である。また、本年度は入力した判決原本のデータが原本と照らし合わせて正しいかどうか(校正)を行った。 さらに今年度も引き続き、富山県礪波市域における村役場文書の撮影をおこない、史料の収集をした。史料調査は実際の紛争解決の村レベルでの態様を判決原本と比較して考察する上で有意義であった。来年度以降は引き続き、以上のような裁判に関する司法統計データ、同時代の刊行物、地方史料等々をも多角的に検討しながら、判決原本データ入力を継続して行い、当時の裁判の実態解明とその後の訴訟行動に与えた影響の分析を行っていく予定である。 今年度の研究業績の一部は、平成15年10月3日に行われた法制史学会(名城大学)で口頭報告した。報告は「IT時代の法制史学」というタイトルのシンポジウムのなかで行ったが、国際日本文化研究センター所蔵の史料(画像データ)を、直接検索する方法、さらに現在行っているように、実際に文字入力をして使う方法などについて報告した。 以上のように、本年度の主たる目的であるデータ入力作業については順調に進んでいる。
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