2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14720048
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐藤 雄一郎 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70326031)
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Keywords | 研究規制のあり方 / インフォームド・コンセント / 倫理審査委員会 / IRB / ピア・レビュー |
Research Abstract |
今年度は、主に以下の二つの検討作業を行った。 1.アメリカ合衆国における研究規制の歴史的検討 アメリカ合衆国における、連邦政府が研究規制に乗り出す(1974年のNational Research ActおよびDHEWの規則)までの歴史的経緯を検討した。大きなスキャンダルが明らかになるたびに、その都度規制がなされてきたところ、タスキギー事件という大スキャンダルを受け、1974年のこのような対応がなされたものと考えられる。 2.研究規制の性質の変化 上記アメリカ合衆国における研究規制のあり方は、当初は、研究参加者(被験者)のインフォームド・コンセントの取得と、インフォームド・コンセント取得の手続および研究計画についての同僚による審査(peer review)であった。しかし、この審査の性質は変貌を遂げているように思われる。すなわち、審査を行う委員会に外部委員の参加が求められるようになってきているのである。この動きはアメリカに特殊なものではなく、イギリスにおいても、そしてわが国においても、倫理審査委員会には外部委員が参加することが必要とされている。 一方、アメリカの大統領委員会(わが国でいえば各種指針を策定する行政審議会がこれに当たろうか)のような、個々の研究計画の審査ではなく一般的な考え方を示す委員会においても、科学者のみならず、人文・社会科学系の委員の参画が求められている。 さらに、研究規制一般論としても、それをpublic participationの問題として、一般人の参画を強く求める主張までもみられるようになっている。 このような動きは、科学者による自主規制から、非科学者をも含んだ社会的な規制へという変化であるように思われる。
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Research Products
(2 results)