2003 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険法制における参加および利益調整システム構築に関する研究
Project/Area Number |
14720049
|
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
平部 康子 福岡県立大学, 助教授 (60316164)
|
Keywords | 介護保険 / 参加 / 利益調整 |
Research Abstract |
本研究は、日本およびベルギーの介護保険法制の比較を通じて、利用者の権利を実現させるために必要な介護保険制度における各法主体の参加および利益調整のシステムを構築することを目的とする。本年度は、介護を行う家族(介護者)に着目して検討を行った。 ベルギー(フラマン語圏)介護保険において、保険でカバーされる介護の水準は日本より低く、カバーされない部分は従来の社会サービス制度(わが国でいう措置制度)を用いるか、家族が介護する必要がある。家族が介護者となる場合、わが国では労働者の一部に対しては雇用の維持という観点から、育児休業法・雇用保険法(育児休業給付制度)の定めがあるほか、これらの法律の趣旨に沿って、健康保険法・厚生年金保険法において休業中の保険料の免除が定められている。しかし、それ以外の者は介護により就労できなくても保険料を払わねばならないことになっている。ベルギー介護保険法では、介護をする者の介護保険料について、労働者と非労働者とで区別せず免除を与えている。ベルギーにおいても従来は日本と同様に労働者/非労働者によって取り扱いが異なっていたが、この区別がもたらす不利益について、ルーバン大学のPout教授は「介護により就労できない者に対する(制度的な)制裁である」と論じている。わが国とベルギーの介護者の法的地位に関する比較研究については、2004年度夏までにPout教授と共同で論文を公表する予定である。
|