2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14730004
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
畳谷 整克 東京都立大学, 経済学部, 助教授 (40272166)
|
Keywords | Mechanism Design / Implementation / Informational Decentralization / Self-Relevancy / Price Revelation / Preference Revelation / Pareto Efficiency |
Research Abstract |
本研究課題は,個人のインセンティブを考慮しながら社会的に望ましい帰結を達成する制度を考察することである.研究代表者は以前の論文で,情報的に分権化された制度が持つべき性質として,制度において個人が表明するメッセージは自分の情報のみを含むものに限定するという条件,self-relevancy,を課し,それを満たす制度によって達成可能な社会的目標の性質を明らかにした.この議論を踏まえ,今年度発表した論文では,self-relevancyを制度に課すことの影響を見るために,(1)純粋交換経済における配分問題;(2)1種類の分割可能財の割当て問題;(3)マッチング問題;において,頻繁に議論の対象となる社会的な目標の達成可能性を分析した.その結果,self-relevancyを課すことは,社会的な目標の1つとしてパレート効率性を要求するときに,(2)と(3)では非常に制約的であるが,(1)では制約的でないことが判明した.この差異の原因を議論したのが今年度の2つ目の研究である.上述の論文で(1)を分析した際には効率性価格の一意性を仮定していた.これに対して効率性価格が一意でないときに社会的な目標の1つとして効率性を要求するならば,個人が価格を表明する制度ではその目標は達成可能であるが,個人が選好を表明する制度では達成不可能であることが分かった.制度において価格表明が個人の選好の局所的な情報として扱われているならば,選好表明のほうが情報の量は多いはずであり,上述の結果の間に矛盾が生じてしまう.よってこのことは,価格表明と選好表明それぞれが持つ情報の質が異なっていること,さらに価格表明が効率性価格という経済全体の情報も併せ持っていることを示唆している.さらにこれらの分析は,効率性を達成するためには制度において価格のような経済全体に関する情報の表明が不可欠であることも示唆している.
|
Research Products
(1 results)