2002 Fiscal Year Annual Research Report
不完備な証券市場における主観的予想形成と異時点間の証券取引の統計的性質ついて
Project/Area Number |
14730021
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
佐柄 信純 法政大学, 経済学部, 助教授 (90286005)
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Keywords | 最尤推定 / 尤度増大的推定 / Bayes推定 / 一致性 / 不完備市場 / 一般均衡理論 / 最適成長理論 |
Research Abstract |
本年度は研究成果を三本の英語論文にまとめ,そのうち二本の論文について学会報告を行った.学会報告で得たコメントにもとづき,論文の改善に努めるとともに,論文を海外の雑誌に投稿するための準備に専念した.各論文の要旨は以下の通りである. 1"Stochastic Growth with a Likelihood-Increasing Estimation Process". 不完全情報下の確率的最適成長における尤度増大的推論プロセスを分析し,尤度増大的推定量の系列は,それが計画当局者の動学的な意思決定における最適な予想である限り,真の分布に収束すること(一致性)を示した.この論文は2002年9月に日本応用数理学会2002年度年会(慶應義塾大学理工学部)で報告された. 2"Sequential Equilibrium with Incomplete Financial Markets under Bayesian Learning". 不完備な証券市場において経済主体が異質な事前予想を持つとき,経済主体の予想と整合的な自己実現的均衡の存在を証明した.経済主体の予想と整合的な自己実現的均衡では,自然の状態を観察しても経済主体は自らの予想を修正することなく,経済主体間の異質な予想が調和されぬまま,均衡における取引が成立する.この経済に各経済主体のBayes的学習過程を導入し,無限期間に動学化したモデルを考察し,Bayes的事後分布の系列が真の分布に収束するための十分条件を示した.この論文は2002年6月に日本経済学会春季大会(小樽商科大学商学部)で報告された. 3"Convergence of Probability Measures and Consistency of the Maximum Likelihood Estimate". 確率測度の収束概念にもとづき,確率過程の独立性を外し,定常性とエルゴード性の仮定から最尤推定量の一致性を証明した.
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