2002 Fiscal Year Annual Research Report
結婚・出産タイミングの社会経済的要因とキャッチアップ効果に関する国際比較分析
Project/Area Number |
14730030
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
和田 光平 中央大学, 経済学部, 助教授 (30286950)
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Keywords | 少子化 / 晩婚化 / 出生 / 結婚 / 生存時間分析 / プロビット分析 / 経済人口学 |
Research Abstract |
今年度は、研究目的ならびに研究実施計画に記載の通り、少子化の進行している先進諸国の結婚や出生に関するデータ収集とコーディング作業を進めています。本格的な分析はこのような準備作業を経て次年度に予定していますが、コーディング作業の参考のためにパイロットケースとして、我が国の個票データを用いて初婚行動と第1子出生のタイミングの社会経済要因に関するプロビット分析とパラメトリック・モデルのサバイバル分析を試みました。その結果、異なる調査データをプーリングする場合、説明変数のもつ概念のわずかな違いによって統計的な有意性の確保が困難になるという問題点、コーホート分析の必要性、それぞれの経済変数間に想定される理論仮説の再検討の必要性などが明らかとなりました。同様に研究実施計画に記載の通り、イベントヒストリー分析に関する解析手法についても研究しました。特に、時間依存性の観点から変動効果と固定効果を同時にノンパラメトリックでモデル化することには統計学的に問題のあることが判明しました。しかし本研究の目的は結婚や出生に関するタイミングとその経済的要因の説明力を推定にありますので、そのような問題を解決する統計手法の開発に検討を重ねたところ、従来のサバイバル分析にフーリエ解析を組み合わせて、ベースラインハザードの区分期間ごとに共変量パラメータを推定してそれらを接続すれば、動学的な逐次決定計画の推定にも有効ではないかという知見を得るとともに、さらに別の解析的な接近として、追跡的パネルデータを利用できるなら、ベルマン最適性原理による動的計画法とマルコフ確率過程理論を組み合わせることで最適停止問題の解析手法を結婚や出生の意思決定への応用も可能ではないかという着想を得ました。これらについてはまだ着想段階ですので、次年度以降、統計的な解析手法についてさらに検討を重ねる予定です。
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