2002 Fiscal Year Annual Research Report
離婚増加が個人の経済活動・労働市場・社会保障制度に及ぼす影響に関する経済分析
Project/Area Number |
14730045
|
Research Institution | Kobe University of Commerce |
Principal Investigator |
横山 由紀子 神戸商科大学, 経済研究所, 講師 (80336825)
|
Keywords | 離婚 / 再就職 / 就業支援策 / セーフティ・ネット / キャリア形成 / 経済的自立 |
Research Abstract |
失業率や離婚率の上昇により、専業主婦家計が不安定化しつつある。専業主婦が直面しているリスクは非常に大きく、突然に経済的自立を迫られることもある。経済的自立の手段の1つとして就業することが考えられるが、育児期にキャリア形成を行わなかった女性は労働市場で著しく不利な状況に陥る。出産・育児後の再就職について本研究で得られた主な知見は以下のようになる。 就職活動時の年齢の上昇に伴い正社員として採用される可能性は減少する。たとえ正社員になる機会に恵まれたとしても、就職時年齢が高いほど、所得の高い専門・技術職や事務・営業職に就く確率は低下し、同様に、官公庁や大企業に勤める機会も減少する。残業の少なさのみを優先した場合には自発的に小規模企業への就職を選択したとも考えられるが、全般的にみて、所得の高い職場ほど職場環境にも恵まれている。就職時年齢が上がるほど採用条件で不利となり、これを回避するためには少しでも早く労働市場に復帰する必要がある。また、正社員としての就職のみにこだわり続けるのではなく、たとえ一時的にはパートであっても、経験を積み離職期間のブランクを埋めてから転職の機会を探す方が正社員としての就職先を見つけやすい。30代という比較的若い育児期にキャリアを形成するかどうかが今後の所得や職場環境に大きな影響を与えるのである。 育児と仕事の両立支援政策はこうしたリスクを回避するのに重要な役割を担う。育児期にキャリアを中断せず、あるいは子供がまだ幼い時期から労働市場に復帰して働くことができれば、女性の期待所得の大きな減少は起こりにくい。こうした観点に立つと、育児期に女性が働きやすい環境を整えることは現在の就業を可能とするだけでなく、将来にわたる長期的な効果をも有するといえる。
|
Research Products
(1 results)