Research Abstract |
本年(平成15年)度に行った研究は以下の通りである. すなわち,産業生成メカニズムおよび企業のイノベーション戦略の解明を目的として,前年度に行われたパイロットスタディの成果をもとに,調査対象として数社を抽出した上でその技術開発状況,事業成果並びに産業全体の生成・発展過程およびそこでの各社の役割について,情報収集および分析を試みた.多様な業種に関する知見を深めるため,調査対象には,昨年度のエレクトロニクス・メーカー群に加えて,医薬品企業,リース企業,自動車企業,輸送業企業を加え,構造化された聞き取り調査を進めた.また,産業生成メカニズムおよび企業のイノベーション戦略とその成長過程に関わる既存の文献について,一層の精査が進められた. 産業規模の市場生成に至る長い過程で他の様々な市場及び技術との関係について再考が重ねられてきたこれら企業の事例研究から得られた諸知見,および申請者がこれまでに蓄積してきた研究成果を基盤として,複数の製品市場の複雑な相互依存関係から生じる現代のイノベーションと,産業生成,技術及び市場開発戦略,事業成果の関係を分析するための枠組みを洗練し,鍵概念と分析次元の改良を試みた. 研究成果は,未だ公表する段階にはないが,次年度の国際的観点からの比較分析に向けて,分析の精緻化と,本調査対象産業企業のデータ整理が行われている.技術開発に関与する技術者たち,および組織内部で意志決定権限を持つマネジャーたち(主として部長,事業部長,担当取締役)を対象とした詳細な聞き取り調査データは,数量化された技術データ,市場データとともに,整理,分析され,次年度に行われる調査研究の結果と総合されて,最終的な研究成果として公表される.
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