製薬産業の研究開発における組織能力の蓄積プロセスと企業戦略

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14730094
• Research Institution: University of Tsukuba
• Principal Investigator: 桑嶋 健一 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (50313086)
• Keywords: 製薬産業 / 組織能力 / 研究開発

Research Abstract

本研究の目的は、製薬産業の研究開発における競争優位性の源泉としての「組織能力」の実態とその蓄積プロセス明らかにすることである。本年度は、聞き取り調査および文献調査により、日本の大手製薬企業がその創業当時からどのように発展してきたのかを整理した(本整理の詳細については桑嶋・小田切(2003)を参照)。日本の製薬企業は最から研究開発活動を行っていた訳ではなく、初期は医薬品の製造や卸からスタートしているものも多かった。組織能力が経路依存的であることを考慮すれば、研究開発活動に着手したきっかけや、背景として持っていた技術・ノウハウ等についても各企業ごとに把握しておくことが必要であり、今後、より詳細な調査・分析が必要である。
一方、組織能力の詳細分析としては、大手製薬企業の臨床開発管理手法について調査を行った。従来、医薬品の開発は逐次的な開発プロセスにならざるを得ないため、自動車産業等で有効な開発フェーズのオーバーラップといった組織管理的なマネジメントは難しいと言われてきた。しかし近年、大手製薬企業でも、開発フェーズのオーバーラップの手法が試みられており、それが競争優位の源泉となる可能性がある。ただし、「オーバーラップ」の意味やマネジメントは自動車産業とは異なる側面も見られ、今後さらに調査が必要である。

Research Products

• [Publications] 桑嶋健一, 小田切宏之: "医薬品産業"サイエンス型産業(NTT出版). (近刊).
• [Publications] 桑嶋健一: "新製品開発研究の変遷"赤門マネジメントレビュー. 1(6). 463-496 (2002)