2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14730104
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鈴木 竜太 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (80295568)
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Keywords | キャリア論 |
Research Abstract |
本年度は、(1)学生のキャリア志向に関する実証研究、(2)若年層ホワイトカラーのキャリア状況に関する実証研究の2つについて、研究を進めた。まず、学生のキャリア志向に関する実証研究では、日本人の大学生を対象に、将来のキャリアの志向について質問票調査を行った。質問票調査では、これまでのキャリア論において用いられたキャリア・アンカー、キャリア成熟度などの項目に加え、ベンチャー志向/大企業志向に関する質問項目を加えた。アメリカでは企業の選択の際には、職業の選択が前提になっているが、日本の場合、職業の選択の前に、企業それ自体について選ぶ傾向がある。これまでのキャリア論は、アメリカで開発された測定尺度を用いているため、新たな項目は日本の状況をふまえた項目として取り入れた。結果では、やはり大企業志向の学生とベンチャー企業志向の学生に二分されることが示された。それぞれの志向の特徴としては、ベンチャー企業志向の学生は、キャリアに関して成熟しているが、大企業志向の学生は、成熟した学生とそうでない学生とに別れた。これは、「とりあえず大企業」といった傾向が未だに残っていることを示していると考えられる。同時に、このような日本的な状況を背景にした測定尺度の有効性も示されたと言えよう。 次に、若年層ホワイトカラーに関する実証研究では、文献調査とパイロット調査から理論的なフレームワークの導出と質問票調査の準備を行った。現在のところ、キャリア・ミストとキャリア・ドリフトという概念を用いて、若年層ホワイトカラーのキャリアに関する状況を明らかにするフレームワークを導出した。このフレームワークに基づいて質問票調査の準備がされ、パイロット調査を通じて、具体的な質問項目の洗練を行った。
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