2003 Fiscal Year Annual Research Report
日系多国籍企業の情報処理システムと人的資源管理―アジア地域統括拠点における人材育成支援―
Project/Area Number |
14730107
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
細萱 伸子 上智大学, 経済学部・経営学科, 助教授 (50267382)
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Keywords | 日系企業 / 多国籍企業 / 人材育成 / 地域統括拠点 / RHQ / シンガポール |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の2点である。第一は、IT通信技術の進展が企業内の人材育成に与える影響について、Eラーニングの進展という側面から考察した。第二はシンガポールの現地調査を行い現地日系企業の地域統括をめぐる動向とシンガポール政府の人材育成に関わる支援政策の動向の把握に努めた。 EラーニングはITネットワークを通じた学習システムの総称である。現在、多くの企業が人材育成の効率化を目指して導入している。また、ITネットワークを使用する企業大学(corporate university)は、企業戦略に合致した人材の育成、ナレッジマネジメントと育成の連動というニーズから多くの欧米系多国籍企業で設立されており、このトレンドは日本企業にも及んでいる。多国籍企業がその企業ネットワーク内でナレッジマネジメントを効果的に行おうとするならば、ITを活用した人材開発プログラムの活用は不可避であると考えられる。しかしながらEラーニングが内容を充実させ、より深い情報交流を目指す場合に、その成否にはITを通じた学習のコミュニティ形成が必要である。したがって、今後多国籍企業の地域統括拠点によるHRD支援策を検討する場合には、このコミュニティ形成にはたすRHQの役割を明らかにしなくてはならないと考えられる。 シンガポールにおいては日系多国籍企業のRHQ設立あるいは維持とその機能進化が進んでおり、その一方で製造拠点の他国への移動がますます進展している。そのため、日系企業、特に製造業の場合、RHQの主たる機能は周辺国へ立地する製造拠点の統括および支援・調整がとなると考えられる。一方、政府は高度なビジネスサービス提供のための企業誘致・支援策、および高度な人材育成のための環境整備策(たとえばビジネススクールの誘致、人材管理・育成を主たる業務とするコンサルティング企業の積極的誘致など)を推進している。そこで両者の関係については、シンガポール政府が整えようとしている支援環境がRHQの機能に直結するのではなく、そうした環境から生み出されてくる現地人材によって日系企業の担当マネジャーが現地化しその現地マネジャーが地域支援のためのシステムを内製するという方向になることも考えられる。
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Research Products
(1 results)