2002 Fiscal Year Annual Research Report
知識資源の企業間移転とイノベーションの関係性:データベースの構築と国際比較
Project/Area Number |
14730113
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中内 基博 早稲田大学, 産業経営研究所, 助手 (20339732)
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Keywords | イノベーション / 知識移転 / パテント |
Research Abstract |
本年度は、(1)個人レべルの知識移転(ミクロレベル)と(2)組織レべルの知識の移転(マクロレベル)という2つの流れに沿つて研究を遂行した。第一に、(1)個人レべルでは、大手精密機械工業の技術者の1999年から2001年の3年分の公開特許を個人ベースで洗い出し、IPC国際分類に準拠して技術分野ごとに累積した。特許データは3万件近くにのぼり、対象研究開発者数も6312名と膨大であるため、現在のところ外部情報を組織内部にもたらすコミュニケーション・スターであるゲートキーパーの選出、およびゲートキーパーが獲得した情報を内部研究者に伝達するトランスフォーマーの識別を行っている段階である。 他方、(2)組織レベルの研究は、半導体を主とする日本の電機産業および精密機械工業をサンプルとし、研究開発組織における外部技術知識の獲得と、技術の多角化および組織的パフォーマンスの関係性について実証分析を行った。その結果、組織が外部情報を吸収するためには、前提知識である吸収能力の存在が不可欠であり、また吸収するだけではなく、外部知識へ積極的にアクセスすることもまた組織パフォーマンスを高めるには重要であることが示された。 このマクロレベルにおける「外部知識の吸収」と「外部情報へのアクセス」の重要性に関する確認は、ミクロ研究の意義をより一層高めるものである。すなわち、組織が知識を蓄積する過程には、外部知識にアクセスし、吸収する「個人」の存在が不可欠であり、その個人が獲得した知識がいかにして研究開発組織内に伝播、蓄積していくのかを探求していくことは非常に意義深いと考えられるからである。次年度もまた。マクロおよびミクロレベルの知識移転メカニズムを探求し、イノベーションの源泉の一要因を探索する予定である。
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Research Products
(1 results)