2002 Fiscal Year Annual Research Report
IT化に伴うスキルマネジメントの変容-金型産業におけるスキル形成と国際分業-
Project/Area Number |
14730114
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
浅井 敬一朗 愛知淑徳大学, コミュニケーション学部, 助教授 (50273248)
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Keywords | スキル / 技術移転 / 金型 / 3次元CAD |
Research Abstract |
今年度(1年目)は先行研究の中から,研究代表者もメンバーとして参加した大阪経済大学の研究チームが昨年度行った日本,韓国,台湾における金型メーカーアンケート調査を選び,追加的検討を行った。具体的には,日本,台湾,中国(上海)において好業績の金型メーカーに対するヒアリング調査である。先行研究では3次元CADの設備の導入比率は日本と台湾の金型メーカーでは大差は無かった。しかし,ヒアリング調査では,限られたサンプルではあるが,実際に3次元ソリッドによる金型設計を行っている比率は台湾メーカーが圧倒的に高いという結果であった。 この差異は,日本の金型メーカーには,初めて製作される金型が発注されることが多く,ユーザーから提供される製品設計データの品質に問題があり,金型設計において多くの手直し作業が必要となるためソリッド設計では工数がかかりすぎることなどが原因としてあげることができる。他方,台湾メーカーでは,一度日本で製作された金型が2番型,3番型として発注されるケースが多く,すでにできあがった金型構造のパターン化が容易である。このため,3次元ソリッドCADを活用し「設計の標準化(スキルレス化)」が進み,金型として精度が出ない部分は,仕上工程の人海戦術で対応し,完成させている。 近年,台湾の金型産業は急速に空洞化している。台湾模具工業公会でのヒアリング調査では,会員企業の約6割が中国大陸に進出していた。標準化された金型設計を3次元ソリッドCADで行い,仕上工程を人海戦術によって金型を製作する方法を台湾から中国に移転することは比較的容易であり,さらに低コストの金型製作を可能にすると考えられる。
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Research Products
(1 results)