2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740009
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
木村 巌 富山大学, 理学部, 助手 (10313587)
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Keywords | 虚2次体の類数 / 非司除性 / 半整数重みの保型形式 / Tate-Shafarevich群 |
Research Abstract |
今年度の研究では、虚2次体の類数の非可除性に関する定量的な結果を、半整数重みの保型形式と、その合同の理論から導く事を主なテーマとした. 主結果の概略を述べる.素数lを一つ固定し、また、互いに交わりのない素数の有限集合S_0,S_+,S_-を固定する.このとき、虚2次体kであって、判別式の絶対値が与えられた数を越えず、かつkの類数はlで割り切れず、さらに、S_0,S_+,S_-に属する素数がそれぞれ、kで分岐、分解、惰性するようなものが、√<X>/logXよりも多く存在する、というものである.研究計画で予期した結果を得る事ができた. 証明には、H.Cohenが構成した半整数重みの保型形式と、J.Sturmにより証明された保型形式の合同に関する結果を用いる.先行するW.Kohnen, K.Ono, D.Byeonらの結果をより精密化した結果を得ている. 応用として、B.Mazurによる保型形式のL関数の特殊値に関する結果と併せる事によって、虚2次体kで、モジュラ楕円曲線X_0(11)のk上のTate-Shafarevich群の5-primary成分が消えるようなものがやはり同じ密度で存在する事が導かれる. 一方、当初意図した、この保型形式の志村持ち上げの像と合同な固有形式を見つけ、その固有形式に付随するGalois表現にChebotarev型密度定理を適用する、という議論は、技術的な理由から取れなかった.虚2次体の類数に関係するCohenの保型形式ではなく、他の算術的な量に関する場合に適用可能か、検討中である.
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Research Products
(1 results)