2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740025
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川添 充 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (10295735)
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Keywords | 楕円曲面 / 微分形式 / 楕円曲線 / 重複ファイバー |
Research Abstract |
本研究は、楕円曲面上の重複ファイバーについて、とくに重複楕円ファイバーの現れ方を、正標数で標数が重複度の因子となっている場合も含めて、重複楕円ファイバーの重複度を解消する被覆系列とある種の微分形式との対応を通して標数0と正標数を統一する理論を構築することが目標であるが、初年度である本年度は、これまでの研究ですでに明らかにしていた、楕円曲面のアルバネーゼ多様体の次元が底曲線の種数より大きい場合について、標数0の重複楕円ファイバー、正標数の重複超特異楕円ファイバーのと微分形式との対応を詳細に比較分析し、統一的な説明が可能かどうかを検討した。その結果、従来は、対応する微分形式が重複ファイバーのサポートにnormalであるということが重要な条件であるように見えていたが、正標数においては、重複度解消被覆系列に対応している微分形式の完全性がもう一つの重要な条件となっていることが判明した。この対応する微分形式の完全性を、Rudakov-Shafarevichの純非分離射の理論などを用いて詳しく分析した結果、完全性という条件の由来を幾何学的に説明することに成功した。また、その完全性はCartier作用素と密接な関連があることも解明された。そこで、この完全性の視点を取り入れてこれまでの理論の再構築を行った。さらに正標数について完全性をめぐる状況を詳しく分析して、重複ファイバーとの関係を明らかにし、その結果にもとづいてプレプリントを改訂した。
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