2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 謙一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20242810)
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Keywords | カラビ・ヤウ超曲面 / 判別式 / キレン計量 |
Research Abstract |
エルミート複素直線に値を取るカラビ・ヤウ多様体の不変量を構成した。このような不変量の典型として、既に偏極ホッジ構造があるが、今回構成した不変量はコホモロジーの行列式とキレン計量及びボット・チャーン二次特性類を用いて与えられる。もちろんすべてのエルミート複素直線は互いに同型なので、単独のエルミート複素直線を考えても意味はないが、カラビ・ヤウ多様体の族を考えると事情は一変する。つまり、各々のエルミート複素直線をパラメーター空間上に並べて得られる複素エルミート直線束はカラビ・ヤウ多様体の族の不変量である。特に、ホッジ構造から定まる直線束とコホモロジーの行列式から定まる直線束が比例している場合、エルミート計量の比を取ることによりスカラー値の不変量が得られる。そこで、カラビ・ヤウ多様体がファノ多様体の反標準因子の場合に、上に述べた意味で偏極ホッジ構造と筆者の不変量の比較を与えた。この場合、パラメーター空間は反標準系(ある次元の射影空間)であり、両者の比は反標準系の判別式に等価であることが確認できた。この結果を3次元カラビ・ヤウ多様体に対して適用してみると、カラビ・ヤウ超曲面の解析的トーションがモジュライ空間上の標準形式と判別式の積として表示されることを意味する。これは既に4人の物理学者により予想されていたことであるが、今回の研究によりその予想が(カラビ・ヤウ超曲面という特殊な場合に)確認された。また、K3曲面と楕円曲線の対合による商として得られるカラビ・ヤウ多様体に対し定理を適用すると、その場合の解析的トーションがボルチャーズΦ関数とヤコビΔ関数の積として与えられることが従う。これも2人の物理学者により予想されていたことである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoshikawa, Ken-Ichi: "Nikulin's K3 surface, adiabatic limit of equivariant analytic torsion, and the Borcherds Phi-function"Advanced Studies in Pure Mathematics. (to appear).
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[Publications] Yoshikawa, Ken-Ichi: "Analytic torsion and automorphic forms on the moduli space"Sugaku Exposition. (to appear).