2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長山 雅晴 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (20314289)
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Keywords | 樟脳 / 樟脳酸 / 運動方程式 / 反応拡散方程式 / 表面張力 / 計算機支援解析 |
Research Abstract |
今年度は樟脳運動を数理的に解析する研究を行った.私が提出した数理モデルは樟脳膜の濃度を記述する反応拡散方程式と円盤樟脳の運動を記述する運動方程式から成っており,それらは表面張力変化と樟脳膜濃度の関係式により結合している.この数理モデルを用いて,円周水路での円盤樟脳の運動に対する実験で得られた結果を数理モデルの解に対応させ,モデル方程式の解析を行った.本研究では円周水路で樟脳円盤が停止している場合を定常パルス波,一定速度で運動する現象を進行パルス波と定義し,モデル方程式に対して数値計算支援解析によって進行パルス波の存在,非存在を示した.この結果から,固形樟脳の大きさに依存して進行パルス解が多重に存在している場合と相でない場合の二つの場合があることを発見した.さらに,定常パルス波と進行パルス波の安定性を調べることができた.この結果から,樟脳円盤の半径が小さいとき,粘性抵抗が強い場合は定常パルス波(停止状態)が安定に存在すること,粘性抵抗を徐々に弱くすると定常パルスが不安定化し安定な進行パルス波(一定速度で運動する状態)が出現することがわかった.これにより粘性抵抗に依存した円盤樟脳の運動の数学的結果は実験結果を定性的によく近似していることがわかった.また,樟脳酸がついた樟脳酸舟をリン酸水溶液上に乗せると,リン酸濃度に依存して樟脳酸舟が間欠運動するという実験を数理的に解釈するという実験の数理モデルを提出することができてた.この数理モデルは樟脳酸膜とリン酸の化学反応を考慮した反応拡散系モデルと樟脳酸舟の運動を記述する剛体運動方程式が結合した形で表されている.間欠現象は振動現象による速度変化が大きな場合に対応してるが,リン酸の濃度を考慮することで等速運動から振動運動への分岐現象を数値計算から確認できた.更に間欠現象の出現は樟脳酸膜の濃度と表面張力の関係式に非常に強く依存していることが数理モデルから明らかになった.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Nagayama: "On the interior layer appearing in the similarity solutions of the Navier-Stokes equations"Jpn.J.Indast.Appl.Math.. 19(2). 277-300 (2002)
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[Publications] Y.Hayashima: "Self-motion of a camphoric acid boat sensitive to chemical environment"Phys.Chem.Chem.Phys.. 4. 1386-1392 (2002)
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[Publications] S.-I.Ei: "Pulse-pulse interaction in Reaction-Diffusion system"Physica D. 165. 176-198 (2002)
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[Publications] M.Mimura: "Non-annihilation of travelling pulses in reaction-diffusion systems"Methods and Applications of Analysis. (掲載予定).