2002 Fiscal Year Annual Research Report
マリアヴァン解析による統計的推測と数理ファイナンスへの応用の研究
Project/Area Number |
14740078
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 雅之 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (70280526)
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Keywords | 情報量規準 / 漸近展開 / マリアヴァン解析 / 統計的漸近理論 |
Research Abstract |
本研究では,数理ファイナンスに応用される小さな拡散をもつ拡散過程モデル(以下,小さな拡散過程モデルと呼ぶ)に対して,漸近分布論的立場からマリアヴァン解析を用いて,モデル選択・パラメータ推定・予測問題について論じた.具体的には,小さな拡散過程に従うデータが得られたときに,小さな拡散過程モデル族の中から予測の意味で最適なモデルを選択するための情報量規準を構成し,その漸近的性質を調べた.従来の期待値の意味での漸近不偏な情報量規準である一般化情報量規準(GIC)に加えて,マリアヴァン共分散の非退化性を仮定して中央値(メディアン)の意味での漸近不偏な情報量規準(MUIC)を導出した.これにより情報量規準は不偏性の定義によって異なるバイアス補正項を持つことが証明された.さらに,小さな拡散過程モデルに対する赤池情報量規準(AIC)のバイアス補正項は,独立同一分布(I.I.D.)モデルの場合と同様にパラメータ空間の次元数になるが,竹内情報量規準(TIC)のバイアス補正項は,I.I.D.モデルの場合と一致しないことがわかった. 次に,小さな拡散過程モデルにおける情報量規準の漸近的なパフォーマンスの違いを数値的に比較するため,計算機による数値実験を行った.膨大な量のファイナンスデータに応用することを踏まえて,高速大容量のコンピュータを用いてモンテカルロ・シミュレーションを行い,理論を裏付ける結果を得ることが出来た. また,拡散過程を応用にもつ一般の連続時間確率過程モデルにおける統計的推測理論の研究者が集う研究集会やセミナーに参加し,数多くの研究発表を重ね,その研究成果について意見交換を行った.また研究発表については,国内だけにとどまらず,ヨーロッパでも行い,海外の研究者から有益な意見・情報が得られた.
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Research Products
(1 results)