2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740105
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小櫃 邦夫 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (00325763)
|
Keywords | Weil-Petersson計量 / Takhtajan-Zograf計量 / モジュライ空間 / リーマン面 / 漸近挙動 / 退化族 / Eisenstein級数 |
Research Abstract |
代表者は、九大のWeng氏、シンガポール国立大のTo氏との共同研究により、「点付きリーマン面のモジュライ空間の境界で、Takhtajan-Zograf計量は、Weil-Petersson計量より真に小さいオーダーで挙動する」ことを証明した。これは、数年来の懸案で研究計画にも挙げていた問題だが、肯定的に解決できたことになる。これについては、上記2名との共著で論文を執筆中である。ただし、一方Weng氏により、コンパクト化したモジュライ空間上で、Takhtajan-Zograf束はWeil-Petersson束より(コホモロジーの意味では)より大きいことが示されており、この逆転現象の原因を解明することが、これからの新たな課題として浮上してきた。来年度以降に取り組みたい。 また、代表者は科研費を利用して、メリーランド大学カレッジパークのWolpert教授を約20日間訪問し、共同研究を行った。二人で議論する中で、「以前Wolpert氏が証明したリーマン面の退化族上の接ぎ木計量の漸近展開公式に現れるある関数項が、実はtruncatedしたEisenstein級数である」ことを、示すことが出来た。これは、Wolf氏による調和写像を用いた双曲計量の漸近展開公式の結果とも矛盾なく符合する。また、Wolpert氏と共同で、「モジュライ空間の境界におけるWeil-Petersson計量の漸近展開の第2項に、Takhtajan-Zograf計量が現れるだろう」という予想を定式化し、これをThe second-term予想と名付けた。この予想についても、ごく最近肯定的な方向で解決しそうであり、Wolpert氏とともに慎重に証明を検討している状況である。
|