2002 Fiscal Year Annual Research Report
微分方程式の解の分岐及び安定性の理論における位相的方法の研究
Project/Area Number |
14740112
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新居 俊作 九州大学, 数理学研究院, 助教授 (50282421)
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Keywords | ホモ / ヘテロクリニック分岐 / 進行波 / 線形化固有値問題 / Stability Index / Conley Index / Evan's Function |
Research Abstract |
本研究の対象は,一次元の放物型方程式に現れる進行波解であり,その分岐の幾何的な構造と安定性の関係を位相的な方法を用いて研究を行った. 反応拡散方程式等の放物型方程式の進行波の存在の問題は,適切な相空間上のホモ/ヘテロクリニック軌道の存在の問題に書き直すことが出来る.更に,このホモ/ヘテロクリニック軌道が系に対する適当な摂動によって分岐を起こすならば,進行波も対応する分岐を起こすことになる.従って,放物型方程式の進行波の分岐理論の一部は力学系の大域分岐理論を用いて記述されることになる. 更に,進行波の安定性の問題という,上述の相空間上の力学系では明示的には記述されない問題についても,当該の進行波の分岐構造が安定性にも強い影響を与えているため,やはり力学系の分岐理論と密接に関連しているということが出来る. 本研究は,上記のベクトル場の分岐問題および進行波の安定性の問題にそれぞれ取り組むために近年開発されてきた位相的な方法を用いて行われた.その一つは,ベクトル場の分岐の解析に用いられ一定の成功をおさめているConley Indexの理論であり,もう一つは1990年にJ.Alexander,R.Gardner,C.Jonesの三人により提案されたStability Indexに始まり本研究の研究代表者もその発展に寄与している進行波解の線型化固有値問題を解析するための位相的方法である. 特に後者については,これまで有限次元性の制約から空間一次元の方程式に対してのみ適用されていたのだが,本年度の研究によってこの理論の高次元の系への拡張へ向け大きな前進が見られた.
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Research Products
(1 results)