2003 Fiscal Year Annual Research Report
星形成コアの分子組成進化に関する理論的および観測的研究
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14740130
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
相川 祐理 神戸大学, 理学部, 助手 (40324909)
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Keywords | 星形成 / 星間化学 / 星間物質 / 電波天文学 |
Research Abstract |
分子雲コアの重力収縮を数値流体計算により求め、さら分子組成進化を解くことにより各収縮段階での分子組成分布を得た。 コアの密度分布は重力と圧力の釣り合った平衡解に似ていることが観測から分っている。そこで計算ではまず中心密度が10^4 cm^<-3>の平衡解を作り、密度をわずかに増やした状態から収縮させる。中心密度がコアの典型的密度10^5 cm^<-3>に達した時、広い半径にわたって0.05-0.1 km s^<-1>程度の収縮速度が得られ、観測と合うことがわかった。一方、初期密度を平衡解の4倍としたより動的な収縮では収縮速度がより大きくなった。 コア内の複数の流体素片において化学反応ネットワークを解き分子組成の空間分布を各進化段階で求めた。平衡解に近い状態から収縮させたモデルでは中心密度が3×10^5 cm^<-3>の段階で既にCO, CSなどの顕著な減少が見られ、L1517B等の観測とよく一致する。一方、より動的な収縮モデルでは中心密度が3×10^5 cm^<-3>の段階ではまだCOの減少は顕著でない。これはL1521Eの観測結果を説明する。即ち中心密度が推定されている様々なコアでの分子組成分布をモデルと比較すると、コアの収縮過程(動的な収縮か、平衡に近い状態からの収縮か)を判別出来ると考えられる。また本研究ではイオン分子の再結合に関する新しい実験結果をモデルに取り入れることにより、COの減少に伴ってNH_3の存在量がコア中心で増えることを示した。このような分布は今まで観測されていたが原因が不明であった。 さらに本研究では近年検出の相次いでいる多重重水素化分子を化学反応ネットワークに取り込み、コア内での重水素比の分布を調べた。その結果NH_3,H_2COについて観測値と同程度の高い重水素比を得ることができた。 以上の結果の一部はすでに国際学会で口頭発表した。また全結果をまとめた論文を現在学術論文として執筆中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Aikawa, Y., Ohashi.N., Herbst, E.: "Molecular Evolution in Collapsing Prestellar Cores. II.The Effect of Grain-Surface Reactions"The Astrophysical Journal. 593. 906-924 (2003)
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[Publications] Aikawa, Y.: "Chemical Signatures of the Evolutionary State of Cores"Star Formation at High Angular Resolution, ASP Conference Series. Vol. S-221(in press). (2004)
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[Publications] Aikawa, Y.: "Chemistry in Protoplanetary Disks"Highlights of Astronomy. Vol. 13(in press). (2004)
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[Publications] Aikawa.Y..Herbst, E., Caselli, P., Roberts, H., Ohashi, N.: "Molecular Evolution in Prestellar Cores"The Dense Interstellar Medium in Galaxies (Proceedings of the 4^<th> Cologne-Bonn-Zermatt-Symiposium. (in press). (2004)