2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740139
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
江澤 元 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (60321585)
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Keywords | 銀河団 / 電波天文学 / 連続波観測システム / 単一鏡 / 遠隔制御 |
Research Abstract |
本年度は既存の観測装置を用いた銀河団の観測的研究と、サブミリ波による観測を目指した新しい望遠鏡の開発を並行して進めた。観測的研究においては、国立天文台野辺山の45m電波望遠鏡を用いて、銀河団のスニアエフ・ゼルドビッチ効果(SZ効果)の観測を系統的に進めた。SZ効果の観測は様々な望遠鏡で精力的に行われているが、干渉計を用いた観測例が多い。本研究では口径45mの単一鏡と広い視野をもつ専用受信機を用いて広視野かつ高精度の観測を進め、遠方銀河団を含む複数の天体からのSZ効果の検出に成功した。データ解析にあたっても望遠鏡の特性を加味した独自のソフトウエアを解析している。また取得データを効率よく解析するため、大容量のデータストレージを購入した。現在、取得したデータの解析を進めており、結果と解釈については次年度中に発表予定である。新しいサブミリ波望遠鏡の開発においては、望遠鏡設置場所に赴いて、望遠鏡の鏡面調整、観測装置の立上げ、および試験観測を推進した。さらに、遠方銀河団のサブミリ観測を目指して、350GHz,650GHz,850GHzに感度をもつボロメータシステムの開発を行った。本年度は実際にボロメータシステムを望遠鏡に搭載して試験観測を行い、各周波数において火星からの電波受信に成功した。この望遠鏡は大気透過度の優れた標高5,000mクラスのサイトに設置されており、望遠鏡サイトに長時間滞在しての観測は困難である。そこで本システムにおいては冷凍機を用いた独自の冷却系を導入した。さらに山麓や日本からの運用を可能にするために、冷却系の遠隔制御システムを構築した。
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