2003 Fiscal Year Annual Research Report
大規模多体シミュレーションで探る惑星系の多様性の起源
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14740140
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小久保 英一郎 国立天文台, 理論天文学研究系, 助手 (90332163)
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Keywords | 惑星系形成 / 太陽系 / 系外惑星系 |
Research Abstract |
1.連星系における微惑星のダイナミクス これまでの惑星系形成の研究は太陽のような単一星での惑星系形成のみを扱ってきた。しかし、銀河系の恒星は7割が連星系に属している。連星系での惑星系の形成条件、形成過程を調べるために、まず素過程として、連星系での微惑星の運動について調べた。微惑星の運動は惑星の成長の仕方や成長の時間スケールを決める。今回は主星まわりの微惑星が伴星の重力摂動のもと、どのように進化するかについて調べた。微惑星の円運動からのずれの速度(ランダム速度)は伴星の重力摂動がある場合でも大きくならず、単一星の場合とほぼ同じ大きさになることがわかった。これは微惑星が伴星の重力摂動に対して相互重力によって同期して応答するためである。この結果は現在投稿準備中である。 2.カイパーベルト連星系の起源 太陽系の外縁部にある小天体群、カイパーベルトでは連星系が多いことが知られている。この連星系は2天体の質量がほぼ等しく、さらに2天体間の距離が大きいことが特徴である。このような連星系の起源を説明するために、巨大衝突によって形成された小天体と大天体の連星系に大天体が遭遇し、その結果大天体どうしの連星系が形成されるとして、数値計算をしてそのようなことが起きる確率を求めた。結果、標準的な太陽系形成のシナリオと矛盾なく現在のカイパーベルト連星系を説明できることがわかった。この結果はNatureに投稿した。 3.超高速惑星系形成シミュレーションシステムの開発 これまでにない大規模な惑星系形成のシミュレーションを可能にするために、重力多体問題専用計算機GRAPE-6を大規模並列化したシステムを開発し、それ用に並列化惑星系形成プログラムを開発した。このシステムの演算性能は世界最高レベルで、今年度のGordon Bell賞を授賞した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Makino, J.et al.: "Performance Evaluation and Tuning of GRAPE-6 - Toward 40 "Real" Tflops"Proceedings of SC2003. CD-ROM. (2003)
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[Publications] Funato, Y.et al.: "The Formation of Kuiper-Belt Binaries through Exchange Reactions"Nature. 印刷中. (2004)