2002 Fiscal Year Annual Research Report
GeV領域の偏極相関測定による重陽子の短距離スピン構造
Project/Area Number |
14740151
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上坂 友洋 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (60322020)
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Keywords | スピン交換型偏極^3He標的 / 円偏光 / Nuclotron / 偏極ビーム |
Research Abstract |
今年度はスピン交換型偏極^3He標的の改造とビームラインの開発を行った。 既存の偏極^3He標的に、ポンピング光源として60W出力のファイバー結合型半導体レーザーを導入した。光ファイバーから出る光はほぼ完全に偏光が失われているため、光ポンピングに用いるにはこれを円偏光に変換する必要がある。そのために偏光スプリッタと3枚の四分の一波長板を用いた光学系を作成し、これを用いて光ポンピングを行い^3Heの偏極を観測することに成功した。現在、磁場の一様性向上のため導入した補正コイルを設置し、^3Heの偏極テストを進行させている。また平行して、偏極度の絶対値較正に用いるルビジウム原子の電子スピン共鳴周波数測定に向けた準備を始めている。 ロシア原子核合同研究所の超伝導シンクロトロンNucltronで行ったビームラインの開発では、ビーム・エミッタンスの測定を行った。6月に行った測定から、特に1GeV付近の低エネルギーでビーム・エミッタンスが100πmm-mradと非常に大きくなっていることが分った。2GeV付近の値(約20πmm-mrad)を考慮すると、加速エネルギーから予想されるE^<-1/2>以上の悪化が1GeV付近であるとの結論が得られた。これを受けて加速器グループに低エネルギービーム輸送を考慮したビームラインの整備を要請し、その結果12月の測定では、横方向のエミッタンスが約30πmm-mradと3倍程度改善した。また、12月のランではNuclotronからの偏極ビーム取り出しに初めて成功した。
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