2003 Fiscal Year Annual Research Report
GeV領域の偏極相関測定による重陽子の短距離スピン構造
Project/Area Number |
14740151
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上坂 友洋 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (60322020)
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Keywords | 偏極ヘリウム3標的 / 圧力広がり / 電子スピン共鳴 |
Research Abstract |
^3He(d, p)^4He皮応の偏極相関測定に用いる偏極ヘリウム3標的の開発を行った。 偏極相関係数の測定において、ヘリウム3原子核の偏極度を高精度で決定することが重要である。そこで、光学的手法による密度と磁化の高精度測定法を導入し、偏極度を高精度で決定した。 密度の測定は、標的セルに封じ込められているルビジウム原子の光吸収スペクトル幅が、ヘリウム3ガスの密度に比例して拡がることを利用して行った。外部共振器型半導体レーザーから出射される幅1MHzの光をルビジウム蒸気に照射しながら、その波長を790nmから800nmの範囲で掃引し吸収強度を測定した。得られた吸収スペクトルの幅は、60.6±0.6GHzであった。この結果を用いて、ヘリウム3の密度を(8.70±0.16)×10^<19>cm^<-3>と相対精度2%以下で決定することに成功した。 ヘリウム3原子核の磁化は、ルビジウム原子の電子スピン共鳴(ESR)周波数を用いて測定した。ルビジウム原子のESR周波数が、ヘリウム3原子核の磁化密度に比例してシフトすることが知られている。ルビジウム原子が偏極している場合には、ESR周波数が蛍光検出によって高精度で決められることを利用して、周波数シアトの大きさを測定した。得られたESR周波数シフトの大きさは2.10±0.05kHzであり、先に得た密度の大きさと併せて、ヘリウム3原子核の偏極度を9.4±0.3%と相対精度約3%で決定した。 また、別途測定された偏極緩和時間、スピン交換時間と今回の結果を併せて、現在の偏極度を制限している原因が低い光ポンピング効率にあることをつきとめた。
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