2003 Fiscal Year Annual Research Report
中間エネルギーでの多重クーロン励起法を用いた中性子過剰核の低励起状態の研究
Project/Area Number |
14740153
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 弘典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30334246)
|
Keywords | 不安定核 / 核分光 / 加速器実験 |
Research Abstract |
本研究では、不安定核の偶偶核を対象に、第2励起状態、特に4^+状態の核分光を行う手段を開発し、中性子過剰核の四重極集団運動モードにおける、変形、振動、単粒子運動等の競合関係を明らかにすることを目的とする。実験では、中間エネルギーの不安定核ビームを用いた逆運動学非弾性散乱によって、不安定核の4^+状態を励起し、その励起エネルギー、励起断面積等を測定する。この際、入射粒子、標的の種類、入射エネルギーなど非弾性散乱の特徴を生かし、実験条件を最適化することが不可欠であるが、比較的軽い原子核を対象としたクーロン励起、陽子・重陽子非弾性散乱実験においては、低励起のE1、E2励起が主体的であり、4^+状態を選択的に励起することが困難であることがわかった。 そこで、中間エネルギーでの多重クーロン励起法という実験手法を提案し、実験を行った。この手法では、陽子数Z=30程度の比較的重い不安定核を対象とし、Zとともに断面積が急激に増加するクーロン励起の特徴を生かして、不安定核の2^+、4^+状態の励起エネルギー、E2遷移強度B(E2;0^+→2^+)、B(E2;2^+→4^+)の全てを測定する。実験は、理化学研究所加速器施設において、強度約80pnA、^86Kr 63AMeVの1次ビームを用いて行った。中性子過剰なGe同位体を中心とした2次ビームを入射核破砕片分離装置(RIPS)を用いて分離・生成し、鉛標的に照射して非弾性散乱を測定した。この際、本科研費で購入した薄型大面積シリコン検出器を用いることにより、入射粒子の粒子識別を各イベント毎に行い、複数の不安定核を同時に測定する高効率な実験が可能となった。非弾性散乱は、励起核からのガンマ線を、散乱核と同時計測することによって同定した。データの詳細は現在解析中であるが、新たに試みた核分光手段の効果は確認済みである。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] H.Iwasaki: "Low-lying structure of neutron-rich nulei around N=8 and 20 from in-beam gamma-ray spectroscopy"Proceedings of the International Symposium on Frontiers of collective Motions edited by H.Sagawa and H.Iwasaki. 337-342 (2003)
-
[Publications] K.Yamada, H.Iwasaki(10番目), 他22名: "E1 strength of the subthreshold 3/2+ state in 15O studied by Coulomb excitation"Physics Letters B. 579. 265-270 (2004)
-
[Publications] Y.Yanagisawa, H.Iwasaki(14番目), 他30名: "The first excited state of 30Ne studied by proton inelastic scattering in reversed kinematics"Physics Letters B. 566. 84-89 (2003)
-
[Publications] N.Iwasa, H.Iwasaki(14番目), 他27名: "In beam γ spectroscopy of 34S : with cleuteron inelastic scattering using reverse kinematics"Physical Review C. 67. 064315 1-064315 4 (2003)