2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740163
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
西村 淳 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (90273218)
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Keywords | 超弦理論 / 行列模型 / モンテカルロ / 格子ゲージ理論 / 非可換幾何 |
Research Abstract |
本研究では行列模型を用いて超弦理論の非摂動的ダイナミクスを明らかにする事を目指している。我々は特に1996年に石橋・川合・北沢・土屋により提唱されたIKKT行列模型を研究する方法として、モンテカルロ・シミュレーションによる数値的な方法と、ガウス展開法による解析的方法を考えており、今年度は昨年度に引き続きこれらの方法を用いた基礎的な研究を行った。 まずガウス展開法については、厳密に解ける模型に適用することにより、方法そのものの性質を明らかにした。我々は2次元重力理論との関連で盛んに研究されてきた行列模型にガウス展開法を適用し、既に知られている。Brezin-Parisi-Itzykson-Zuberの厳密解を再現した。これにより、行列のサイズが大きい極限で安定化する複数の解が存在する場合でも、ガウス展開法がそれらを正しく再現できる事が明らかになった。 一方IKKT行列模型のモンテカルロ・シミュレーションでは、時空はもちろんゲージ群も力学的に生成されると期待されている。そこで我々はそのような性質を持つ比較的簡単な模型を研究した。この模型はIKKT行列模型のボソニック部分を取り出し、さらにChern-Simons項を付け加えたもので、いわゆるfuzzy sphereと呼ばれる古典解を持つことが知られている。我々はこの模型をモンテカルロ・シミュレーションで解析する事により、Chern-Simons項の係数が大きい領域ではfuzzy sphereが非摂動的に安定であるが、係数を下げていくとそのfuzzy sphereが潰れて中身の詰まったボール状になる一次相転移が起こる事、この模型では力学的に生成されるゲージ群はU(1)である事などを明らかにした。なお論文は既にJHEPに掲載が決定しており校正の段階にある。
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Research Products
(1 results)