2002 Fiscal Year Annual Research Report
拡張アンサンブルシミュレーションを用いた小タンパク質の巻き戻り問題の研究
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14740170
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
光武 亜代理 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00338253)
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Keywords | 拡張アンサンブル法 / RISM理論 / 分子動力学法 / モンテカルロ法 / 水和 / タンパク質のフォールデング / 構造予測 / シミュレーション |
Research Abstract |
今年度は、新しい拡張アンサンブル法の開発を進めた。 はじめに、モンテカルロ法に基づくレプリカ交換マルチカノニカル法、マルチカノニカルレプリカ交換法の開発を行った。そして、これらの方法論に関して詳しく論文にまとめた。また、17残基からなる系を用いて、これらの方法の有効性を示し、方法の比較を行った。さらに、熱力学量の収束を議論した。そして、これに関して論文にまとめた。 次に、統計力学に基づく分子性液体論であるRISM理論と拡張アンサンブル法を結合したアルゴリズムの開発を行った。RISM理論では溶媒効果を溶媒和自由エネルギー項として見積もる。そしてこの場合、全エネルギーはタンパク質内部の構造エネルギーと溶媒和自由エネルギーの和からなり、温度に全エネルギーが依存する。今までの拡張アンサンブルモンテカルロシミュレーションでは、全エネルギーが温度に依存する場合を扱うことができなかった。本研究では、全エネルギーが温度に依存する場合の拡張アンサンブル法の開発を行った。ここでは、レプリカ交換法を修正することにより、全エネルギー項が温度に依存する場合の拡張アンサンブル法を開発した。現在、この方法論について論文を準備している。論文では、5残基からなるエンケファリンの系を用い、この方法の有効性も示した。この方法論の開発は、RISM理論を用いて溶媒効果を見積もる理論をとりいれた拡張アンサンブルシミュレーションをする上で、重要である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Nakazawa, S.Ban, Y.Okuda, M.Masuya, A.Mitsutake, Y.Okamoto: "Variation in alpha-helix structure of the S-peptide of ribonuclease A as a function of pH reproduced by Monte Carlo simulated annealing"Biopolymers(Peptide Science). 60. 96-123 (2002)
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[Publications] T.Nagasima, Y.Sugita, A.Mitsutake, Y.Okamoto: "Generalized-ensemble simulations of spin systems and protein systems"Comput.Phys.Commun.. 146. 69-76 (2002)
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[Publications] Ayori Mitsutake, Yuji Sugita, Yuko Okamoto: "Replica-exchange multicanonical and multicanonical replica-exchange Monte Carlo simulations of small peptides. I. Formulation and benchmark test"J.Chem.Phys., in press. 118. (2003)
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[Publications] Ayori Mitsutake, Yuji Sugita, Yuko Okamoto: "Replica-exchange multicanonical and multicanonical replica-exchange Monte Carlo simulations of small peptides. II. Application to a more complex system"J.Chem.Phys., in press. 118. (2003)