2003 Fiscal Year Annual Research Report
拡張アンサンブルシミュレーションを用いた小タンパク質の巻き戻り問題の研究
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14740170
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
光武 亜代理 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00338253)
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Keywords | 拡張アンサンブル法 / RISM理論 / レプリカ交換法 / シミュレーティッド・テンパリング法 / 水和 / タンパク質のフォールディング / 構造予測 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
はじめに、新しい拡張アンサンブル法であるモンテカルロ法に基づくレプリカ交換マルチカノニカル法、マルチカノニカルレプリカ交換法の論文を仕上げた(論文1,2)。そして、新しい拡張アンサンブル法の開発を継続した。 具体的には、まず、統計力学に基づく分子性液体論であるRISM理論と拡張アンサンブル法を結合したアルゴリズムの開発を行った。RISM理論を用いる場合、全エネルギーはタンパク質内の構造エネルギーと溶媒和自由エネルギーの和からなり、全エネルギーが温度に依存する。今までの拡張アンサンブルモンテカルロ法では、全エネルギーが温度に依存する場合を扱うことができなかった。本研究では、拡張アンサンブル法の1つであるレプリカ交換法を改良することにより、全エネルギー項が温度に依存する場合のアルゴリズムを開発した。そして、この方法の有効性を示した。現在、論文投稿中である。この方法は、溶媒効果が自由エネルギーとして加えられている系に対して、広く用いることができる。 また、拡張アンサンブル法であるレプリカ交換法とシミュレーティッド・テンパリング法を組み合わせたレプリカ交換シミュレーティッド・テンパリング法、シミュレーティッド・テンパリングレプリカ交換法の開発を行った。従来のシミュレーティッド.・テンパリング法より容易にエネルギー空間上のランダムウォークを実現し、この方法の有効性を示した。この研究も論文投稿中である。 拡張アンサンブル法の開発と並列して、解析方法についての研究も行った。モンテカルロ法などから得られる静的なデータから動的な情報を得るために高分子の理論に基づく解析手法を用いて、13残基のペプチドの動的性質の研究を行った(論文3)。 今年度は、アンサンブル手法の開発のために、既存のコンピュータの増強を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Mitsutake, Y.Sugita, Y.Okamoto: "Replica-exchange multicanonical and multicanonical replica-exchange Monte Carlo simulations of peptides. I.Formulation and benchmark test"Journal of Chemical Physics. 118. 6664 (2003)
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[Publications] A.Mistutake, Y.Sugita, Y.Okamoto: "Replica-exchange multicanonical and multicanonical replica-exchange Monte Carlo simulations of peptides. II.Application to a more complex system"Journal of Chemical Physics. 118. 6676 (2003)
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[Publications] G.L.Penna, A.Mitsutake, M.Masuya, Y.Okamoto: "Molecular dynamics of C-peptide of ribonuclease A studied by replica-exchange Monte Carlo method and diffusion theory"Chemical Physics Letters. 380. 609 (2003)