2002 Fiscal Year Annual Research Report

銀河団スケールでの高エネルギー現象に関する研究

Research Project

Project/Area Number	14740175
Research Institution	National Astronomical Observatory of Japan
Principal Investigator	藤田裕国立天文台, 理論天文学研究系, 助手 (10332165)
Keywords	銀河団 / 宇宙物理学 / プラズマ物理学 / 宇宙の構造形成 / X線天文学
Research Abstract	これまで安定して静かな天体と考えられてきた銀河団も、中でガスとダークマターの塊が高速で運動し、銀河から放出されるジェットと銀河団ガスが激しく相互作用し、さらに粒子が光速に近い速度まで加速されるようなダイナミックな天体であることが明らかになりつつある。本年度はそのような銀河団の活発な活動を把握し、その起源を明らかにすることを目標に研究を行った。まず、高角度分解能を特徴とする米国のチャンドラ衛星を用い、銀河団Abell 133の中心部の高解像度観測を行った。その結果中心部の銀河に付随したガスの塊が、その周囲の高温ガスとの相互作用にとって、ばらばらに分解しつつある様子を明らかにした。この観測により銀河団に次々落ち込む塊は最終的に崩壊することが明らかになった。さらにこの観測で、銀河団中心の銀河中にあるブラックホールによって、高温ガスで満ちた泡が形成され、さらにその泡が電波を出している様子を明らかにした。この観測をもとに、銀河団中心部で泡の移動で発生した対流運動により、大規模な熱の移動が起きている可能性を指摘した。一方で理論的な研究として、宇宙全体の構造形成と、銀河団の中のダークマターの塊の個数分布が強い関連を持っていることを明らかにした。銀河団の中の局所的な現象と考えられがちな塊も、宇宙の進化の影響を受けていることを示したことになる。またこの研究を発展させ、銀河団中の銀河の数からその銀河団の年齢を見積もる方法を新たに開発した。他に理論的な研究として、銀河団中に存在する相対論的な電子の起源が、銀河団同士の衝突で発生する大規模衝撃波や乱流に伴う粒子加速で説明できることを示した。これらの研究は粒子加速が起きている場所や加速メカニズムと、加速された電子が発する非熱的放射の性質が関連することを予言している。この予言は近い将来日本が打ち上げるASTRO-E2によって確認することが可能である。

Research Products
(7 results)

All Other

All Publications (7 results)

[Publications] Fujita, Yutaka, et al.: "Chandra Observations of the Disruption of the Cool Core in A133"The Astrophysical Journal. 575. 764-778 (2002)
[Publications] Fujita, Yutaka, et al.: "Analytical Approach to the Mass Distribution Function of Subhalos and Cold Fronts in Galaxy Clusters"The Astrophysical Journal. 577. 11-21 (2002)
[Publications] Fujita, Yutaka, et al.: "Nonthermal Emissions from Particles Accelerated by Turbulence in Clusters of Galaxies"The Astrophysical Journal. 584. 190-202 (2003)
[Publications] Katayama, Haruyoshi, et al.: "Properties of the Brightest Cluster Galaxy and Its Host Cluster"The Astrophysical Journal. 585. 687-693 (2003)
[Publications] Fujita, Yutaka: "Infant Galaxy Clusters at Low Redshifts?"Publications of the Astronomical Society of Japan. (印刷中). (2003)
[Publications] 藤田裕: "チャンドラで見た銀河団"天文月報. 95・9. 418-425 (2002)
[Publications] 藤田裕: "チャンドラで探る銀河団プラズマとダークマター"日本物理学会誌. (印刷中). (2003)

2002 Fiscal Year Annual Research Report

銀河団スケールでの高エネルギー現象に関する研究

Principal Investigator

藤田 裕 国立天文台, 理論天文学研究系, 助手 (10332165)

Research Products

[Publications] Fujita, Yutaka, et al.: "Chandra Observations of the Disruption of the Cool Core in A133"The Astrophysical Journal. 575. 764-778 (2002)

[Publications] Fujita, Yutaka, et al.: "Analytical Approach to the Mass Distribution Function of Subhalos and Cold Fronts in Galaxy Clusters"The Astrophysical Journal. 577. 11-21 (2002)

[Publications] Fujita, Yutaka, et al.: "Nonthermal Emissions from Particles Accelerated by Turbulence in Clusters of Galaxies"The Astrophysical Journal. 584. 190-202 (2003)

[Publications] Katayama, Haruyoshi, et al.: "Properties of the Brightest Cluster Galaxy and Its Host Cluster"The Astrophysical Journal. 585. 687-693 (2003)

[Publications] Fujita, Yutaka: "Infant Galaxy Clusters at Low Redshifts?"Publications of the Astronomical Society of Japan. (印刷中). (2003)

[Publications] 藤田 裕: "チャンドラで見た銀河団"天文月報. 95・9. 418-425 (2002)

[Publications] 藤田 裕: "チャンドラで探る銀河団プラズマとダークマター"日本物理学会誌. (印刷中). (2003)

藤田裕国立天文台, 理論天文学研究系, 助手 (10332165)

[Publications] 藤田裕: "チャンドラで見た銀河団"天文月報. 95・9. 418-425 (2002)

[Publications] 藤田裕: "チャンドラで探る銀河団プラズマとダークマター"日本物理学会誌. (印刷中). (2003)