2002 Fiscal Year Annual Research Report
超広視野屈折光学系を用いた超高エネルギー宇宙線観測装置の性能評価
Project/Area Number |
14740178
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
榊 直人 理化学研究所, 情報環境室, 研究協力員 (90342790)
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Keywords | 最高エネルギー / 宇宙線 / 空気シャワー / シミュレーション / 衛星 |
Research Abstract |
現在、宇宙から10^<20>eVを超える超高エネルギー宇宙線が存在していることが知られている。東京大学宇宙線研究所明野観測所の明野広域空気シャワー観測装置(AGASA)では1990年から世界最大の検出面積(100Km^2)で観測を続けており今までに10例を超える10^<20>eV以上の宇宙線を観測した。このような宇宙線が陽子であれば我々の銀河系内には閉じ込められず銀河系外起源であると推定される。銀河系外から来ているとすれば、その伝播過程においてビッグバンの名残である2.7K背景輻射の光子と衝突をし、破砕されるため10^<20>eVを超えるような宇宙線は存在しないと考えられていた。その起源として天体で加速されたとするモデルに加え、宇宙初期に生成された宇宙ひもの崩壊によるモデルなど、素粒子論、宇宙論に密接するような論文も多数、発表されている。 この起源を明らかにするためには、AGASAより更に大きな検出面積を持つ装置が必要である。検出面積を劇的に増やすために、EUSO、OWLなど宇宙から超高エネルギー宇宙線による空気シャワー現象を観測する計画が進行中である。このような観測方法は世界初であり、検出性能に対する詳細な評価が必要である。本研究課題ではEUSOで実際に使われる予定の望遠鏡の光学系シミュレーションコードの完成し、実際の収差を含めた空気シャワーイメージの評価ができるようになった。また、解析的手法を用いた空気シャワー生成と大気蛍光、チェレンコフ光発生、伝播の高速シミュレーションコードを開発中である。この高速シミュレーションコードで用いられるシヤワーモデルをより現実的なものにするためフルモンテカルロシミュレーションによるデータベースの構築を予定している。本年度はデータベース生成のための条件の最適化を行い、現在、データを生成中である。次年度に、これらを用いて種々の性能評価を行い発表する予定である。
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