2004 Fiscal Year Annual Research Report
一・二次元カーボン60ナノ構造の電子・振動状態に関する研究
Project/Area Number |
14740180
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 一之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70261542)
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Keywords | 低次元物性 / 一次元金属原子鎖 / フラーレン / 電子・フォノン相互作用 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。 1、一次元C_<60>ナノ構造を形成する可能性を有する基板として、1原子層(ML)以下の金属原子をシリコン(Si)表面上に吸着することによって形成する一次元金属鎖がある。本年度はまず、Si(111)表面上にユーロピウム(Eu)を吸着することによって形成する(擬)一次元構造を低速電子線回折と光電子分光を用いて調べた。その結果、Euの吸着量に依存して異なる(擬)一次元構造を持つことを明らかにし(1/6 MLで擬一次元(3×2)構造、0.3 MLで擬一次元(5×4)構造をとり、Euの吸着量の増大とともに一次元(7×1)、(9×1)、(11×1)となり、0.5 MLで(2×1)構造をとる)、この系が一次元C_<60>ナノ構造を作成する基板として有効であることを示した。また、これらの構造のうち(3×2)、(5×4)と(2×1)表面の電子状態を角度分解光電子分光により測定した結果、いずれの表面も半導体的な電子状態を有することをもとめた。 2、一次元金属的な電子状態を有するIn/Si(111)-(4×1)表面上にC_<60>を蒸着すると、吸着量が0.3 ML程度の時に5から10分子程度の一次元C_<60>分子鎖を形成することを走査トンネル顕微鏡(STM)の観測よりもとめた。また、STMの単針を表面に近づけながら表面平行方向に動かすことによってC_<60>分子が移動することを観測した。この結果は、C_<60>分子とIn/Si(111)-(4×1)表面の相互作用が弱いイオン結合であり、形成されたC_<60>分子鎖が一次元金属的な電子状態を有することを示唆する。
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Research Products
(1 results)